第44話

文字数 1,721文字

 突然の鉄仮面登場

 おじいちゃんの顔は引きつりまくっている!
 そして、応援団の方々も、ひきまくっていた・・・






 鉄仮面こと、うちのお母さんは、周りの反応お構いなしに、鬼の形相でおじいちゃんに近づいてきた。
 そして、近距離にも関わらず、大きな声でおじいちゃんを恫喝。

「なにやってんのよ!!本当に情けない!あがってんじゃないわよ!」

 おじいちゃんはひきつりながらも耐え、なんとかお母さんを睨みつけた。
 だが、言い返すことはできない。

 そんな態度が気に入らないようで、更に鉄仮面が怒号を浴びせる。

「なによ!なんか文句あるの?!あるなら言ってみなさいよぉおー!!!」と激高する鉄仮面。






 知らない人が見たら、老人虐待に見えるよね・・・
 知ってる人でも、虐待には見えるか・・・


 っていうか、えぇえ!?
 鉄仮面、なんでいるの???
 なんか、さっきっから一緒にいたくらいの感じでいるんですけど・・・

 どこにいたの?
 いつからいたの?






「・・あ、ああ、・・あがってない・・・」





 おじいちゃんが、しゃべったーーーー!
 ものすごい小さい声だけど、やっと話せたね

 言い終わる前に、鉄仮面から目を逸らしてたけど・・・・・・





 おじいちゃんに言い返された鉄仮面は、なぜか大きく深呼吸をした。
 そして、次の瞬間、耳をつんざくような声で叫ぶ鉄仮面。
「じゃあ、やんなさいよー!早くやんなさいよーーー!」

 驚いたおじいちゃんは、吹き矢を吹いていた。
 だが、的を狙っていないので、矢は当然のことながら大きく外れていった。
 
 うなだれる応援団の方達。
 それとは対照的に鉄仮面は笑っていた。

「優勝候補?どこが?あがっちゃって、全然、当たんないじゃない」

 鉄仮面に笑いながらけなされたのが相当ムカついたのか、おじいちゃんがさっきよりも大きい声で言い返した。
「あがってないって、いってるだろ・・・」
「はぁ?あがってんの!そんなこともわかんないの?あなたは、カッコつけようとしてるの!みんなにいいとこ見せたいの!でも、いつもみたいにできないんじゃないかって勝手に不安になって、それで、あがってんの!!自意識過剰なのよ!」
「うう、うるさい、うるさい・・、」
「優勝候補だって聞いたから来てみたら。やっぱり、たいしたことないわね」
「いつもは、できるんだ、できてるんだ・・・」
「んぁあー!うじうじ、さっきから何言ってんのよ!!!本当にみっともない!!そんな言い訳聞きたくないのよ!本番でできなきゃね、意味ないの!そんなことも、わかんないの?!」
「うるさい!うるさい!できるんだ、いつもはできるんだー!」

 醜い口論のせいで時間はどんどん経過。
 あたしは思わず声がででしまった。
「じ、時間が・・・」

 それを聞いた鉄仮面が、おじいちゃんを更に恫喝。
「かなが心配してるでしょうが!やんなさいよ!ほら、やんなさいよーーー!べらべら喋ってないでさー!」

 すると、おじいちゃんも鉄仮面に負けない声で叫ぶ。
「やってやる!孫のためにやってやる!フッ」

 勢いよく吹いた矢は、真っ直ぐ的の中央に刺さった。


 応援団の方達は、「うぉーーー!」と喜びの雄叫び。
 おじいちゃんも興奮気味に鉄仮面に言い返した。
「どうだ、みたか!やっぱり、おれはできるんだ!」

 だが、鉄仮面は全然負けていない。
「まぐれかもしれないでしょーよ!一回できたぐらいで威張らないでよね!」

「威張ってなんかないわー!フッ」とおじいちゃんが叫びながら吹き矢を吹く。

 またも矢は中心に当たり、応援団の方達は、狂喜乱舞。

「どうだ!まぐれなんかじゃないんだ!おれは、できるんだ!」
「だったら、最初っらやんなさいよ!震えちゃってみっともないのよ!」
「うるさい!うるさい!うるさいー!!!フッ」と、おじいちゃんは鉄仮面を睨みながら吹き矢を吹いた。
 その矢は、一番勢いよく真ん中へ。






 おじいちゃん、的を見なくても真ん中に当たるのね ・・・
 すごすぎない?!





「やればできるじゃないよ」と鉄仮面に言われ、おじいちゃんはドヤ顔に。
 そんなおじいちゃんに鉄仮面が、「一礼しなさいよ!!はやくしなさいよ!」と言い、なんとか時間内に最後の一礼が出来た。

 


 鉄仮面よ
 ルール知ってるのね・・・
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