第36話

文字数 1,462文字

 夏休みが終わってしまって、今日から学校で憂鬱なのに・・・

 あんな事があって、さらに気が重い

 許嫁って、今どきあるのか???
 しかも、相手がうんちマンなんて・・・

 あたし、結婚しない派なのにーーーーー





 教室に入るとフジやんが駆け寄ってきた。
「かな!なんで?許婚ってどういうこと?」


 なんで、知ってるの?!


「みんなが言ってる。・・・弱み、握られてるの?」

 え?そんなこと無いと思うけど・・・

「じゃあ、なんで許嫁になんかなるの?」

 あたしもわからなくて・・・

「・・・借金?かなのお父さんが椎名のお父さんに借金して、その肩代わりで、かなが生け贄になってしまったとか?」

 生け贄なの?
 うんちマン=モンスターってこと?

「かな、椎名は悪いやつじゃないと思う。でも、結婚はどうかな・・・」

 あたし、結婚しない派なんだけと・・・

「頭も良いし、これから良い大学に行って、良い会社に入る。もしかしたら、頭良いから起業とかして・・・、とにかく将来は安泰だと思う。でもね、何かのきっかけで、また椎名がうんちを投げたら・・・。かなが頭を下げたりしなきゃいけなくなって、大変なんじゃないかな」

 あたしが謝りに行くってこと?
 えーーー!
 家族ってだけで、自分がやってもないことに責任取らなきゃいけないなんて・・・
 そして、誹謗中傷を受けたりしたりして・・・
 一生、日陰の人生になったりしたりして・・・
 うううぅー

「かな、大丈夫???保健室行く?」

 その後も、授業が始まるまで、フジやんは色々と心配してくれた。
 椎名は欠席のようで、来なかった。



 色々聞こうと思ってたのに・・・
 うんちマンが欠席なんて珍しい
 夏休みの宿題が終わらなかったのか?
 そんなわけないか、あたしじゃあるまいし

 それにしても、なぜ、みんな知っているのだ?
 『うんち夫人』とかコソコソ言ってる男子もいたし

 何かのきっかけで、また椎名がうんちを投げたら・・・
 あたしが頭を下げる?
 うんち夫人だから?

 家族って、こういう面倒なところもあるんだな
 椎名のお母さんも、大変だっただろう

 あれ?なんかさっきから視線が・・・
 佐藤さん、あたしのこと見てない?
 すっごい目があってる気がするんだけど
 見てるよね、やっぱり

 佐藤 まみ
 お父さんが社長で、頭も良く綺麗な子
 あたしとの接点はゼロ
 話したこともないし、きっと彼女はあたしのことなんか知らなかっただろう
 うんち夫人になる前までは・・・
 そんなに、うんち夫人が珍しいのか?

 は!うんち夫人ということを受け入れ始めている自分がいる
 気をつけなければ!
 とにかく、許嫁の解約方法を調べよう



 学校が終わり、フジやんと下校。
 シェアハウスにつくまでの間、なぜ、生け贄になってしまったのかを考察しながら歩いた。

 弱みを握られていることはないし、親の借金も考えにくい。
 なので、『椎名の怒りを鎮めるため、町内のみんなで話し合いが行われ、かなが差し出された』説が有望と答えを出し、二人で大笑いしながら帰った。




 もう、生け贄メインの考察になっているけど、面白いから良いね




 フジやんは、今日も食事当番とのことで、シェアハウスの前で別れた。

 庭を通ってシェアハウスの玄関までいこうとしたところ、声をかけられた。

「山崎さん、ちょっといいかな?」



 え?え?え?だれ???
 あれ?佐藤さんだ
 なんでここに?
 どこに隠れてたの?



「山崎さん、ちょっといいかな?」

 佐藤さんは同じことを2回言い、ものすごい眼力であたしを見ている。
 あたしには、断る権利がないようだった。
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