第39話

文字数 2,079文字

 みんなでお出掛け!
 やっぱり康夫さんがいると、安心感あるわー
 向かうところ敵なしって感じ
 ハルカさんも、安心してるみたいだし、良かったのー






 雑貨屋さんは、商店街の脇道に入ったところにあった。
 小さいお店なので、おじいちゃんと椎名、ヒカルちゃんは外のベンチに座って待つことに。

 お店には、食器や文房具、アクセサリーなどのいろんな種類の商品が所狭しと置いてあった。





 というか、ごちゃごちゃ物が多すぎ
 このお店でお買い物するの、難しそうー





「店長、連れてきたよー。ハルカちゃん、話聞いてあげてくれる?ほら、店長、ラッピングだっけ?」と康夫さんが言うと、雑貨屋さんの店長がボソッと話しだした。

「ラッピング、ほしい。あと、・・・お客が何となく入ってきて、そのまま帰られることが多い。・・・どうにかならないかな・・・」





 ちょっと、ちょっとー!!
 この店長さん、接客とか無理なんじゃない!?
 メガネの奥の目が笑ってないし

 なんで、雑貨屋やってるんだろう
 事務とかの方が向いてそうな感じする

 あたしも接客、無理だけど、同じくらいダメそうに見えるんですけどー





「それは、店長が愛想ないからだろ!もっとスマイル、スマイル!かわいいんだからさー。ハルカちゃんだって、そんな事言われても困っちゃうよなぁ」と、ごもっともな意見を言う康夫さん。

 だが、ハルカさんは、「で・・でも、何となく、、、入ってきてくれているのは、す、す、すごい良いことです。だから、、、」と、いろんな場所にある商品を見定め、何やら飾り付けを始めた。
 淡い紫色のグラスを真ん中に置いて、その周りに同じ色合いのアクセサリーや小物を飾りつけると、向井さんが釘付けに。

「えー、こんなイヤリング置いてあった?素敵ね、これ、ほしいわ。あと、この紫のグラスいいわね。9月だから秋っぽくしたいけど、まだ暑いじゃない?そういうときに、このグラスでお茶とか飲んだら涼しげて良いわよね。これ、5個もらおうかしら」と向井さん。

 でも、このお店は、同じものを置かないようにしているらしく・・・

「同じものを置くなんて、つまらない。いろんな素敵なもの、置きたいんです」と店長がボソッと言った。

 


 店長、こだわりがすごいのね





「こ、ここ、こんな感じで合わせるのも良いですよ」とハルカさんが、どこから持ってきたのか、4つグラスを紫のグラスに合わせてみせた。

 藍色や山吹色のこっくりした色合いで、形の違うグラスなのに、一緒に置いてあると、まとまって素敵だった。

「やだー!いいじゃない。同じものが5個よりも、この方が素敵ね」
「お、お、同じ質感のものだったら、形や色が違ってもまとまると思います。店長さんのセンスが良いから」
「こういう風に、まとめて置いたらどうなのかしら?」
「そ、そうですよね、ディスプレイする場所をあと4、5箇所作ったら、もっと選びやすくなると思います」

 色が同じ、種類が同じ、季節もの、店長のおすすめなどなど、テーマを決めてディスプレイして、店長さんの部屋にお邪魔した感じのお店にするのはどうかと提案していた。

「それ、いいね」と、いつの間にか知らないおじさんが参入。
「ガラクタばっかりおいてるような店だったけど、宝箱みたいな店になった。先生がディスプレイしたとこだけね。店長、よかったな。愛想がなくたって売れるようになるよ」




 先生?
 ハルカさんのこと?
 そして、このおじさん、誰?





「小川さん、どうしたのよ。お店は?」と大竹さんがおじさんに話しかけた。
 このおじさんは、和菓子屋さんらしい。

「で、先生。先生の予約はどうすればいいの?」とおじさんが言った。

「小川さん、和菓子屋なのにディスプレイとか関係ある?」
「娘がうるせえんだよ。もっとオシャレにしろってさ。前に気取った感じの奴を連れてきてさ、で、全然良くなくてよ。ただ、きれいにするだけは、嫌なんだよ。でも、この先生だったら、うちの店らしいディスプレイを考えてくれると思うね、おれは。わかるんだよ、おれ。先生、いつでもいいからさ、よろしくね」と言った。

 そして、おじさんの知り合いのハンコ屋さん、コーヒー屋さん、お箸屋さん等など、相談に乗ってあげてほしいと、勝手に他の店の分まで予約して帰った。

「ハルカちゃん、忙しくなっちゃうわね。大変な時はいつでも言ってね。私たち、ユニットだからね」と向井さんが言った。
 向井さんは、ユニットと言う時、とても嬉しそうに笑う。
 
「ユニットって、あのヘアアクセ作ってる人?」と、店長が向井さんに話しかけた。

 店長は、ラッピングの画像に写っていたヒカルちゃんのヘアバンドが気になっていたらしく、向井さんに色々と聞いた。
 向井さんと店長は、趣味が合うようで、話が弾んでいた。





 愛想がなくても、接客ってできるんだなー
 好きだったら、むいてるとか関係ないのかも






 向井さんは、グラスの他にもお盆やらお皿やら、色々と買った。
 そして、ハルカさんは、ラッピング用品を納める日を決め、本日のお仕事は終了。

 みんなで、ハルカさんとヒカルちゃんをお家まで送っていった。
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