第4話

文字数 1,898文字

 あまり知らないおばあちゃん2人と、男子を家にあげるのはまずい

 お母さんに絶対怒られる

 T子は、これからアニメを見るとのことでこなかった

 おじいちゃんに合わせるのは刺激的すぎるし、お母さんもT子をみたら、更に怒り爆発・・・
 来ないでくれて、ありがたい

 
 まぁ、怒られるの慣れているから別にいいのだが、お母さんが出すイライラというか、いやーな感じを出されまくるのは苦手

 こっちの言い分は全く無視され、ため息、不快感、嫌悪感、等々を出してくる



 あー、早く一人暮らしをしたい!
 そして、人と関わらずに生きていきたい!!
 デイトレで稼ぎ、人知れず一人で生きたい!!!


 たまにフジやんが遊んでくれると良いなぁ・・・








「お前の家、ここだろ」

 いろんなこと考えてたら、家を通り過ぎていた。

 みんなを家に入れると、向井さんが

「荒れてるわね」と言った。

 おばあちゃんがいなくなってから、家は散らかり放題になっていた。

「臭いもすごいね。こんなんじゃ、家にいたくなくなるよ。若いうちから、こんな苦労させて。家族が可哀想だよ。」と大竹さん。

 

 このふたりは、おじいちゃんに介護施設へ行くよう、言いに来てくれたんだ。
 まずい!!!



 前におばあちゃんが介護施設の話をしたら、おじいちゃんが「おれは、絶対にこの家から出ないからな!家族なんだから!ここは、オレの家なんだからな!!」と騒ぎ出し、その後は、介護施設の話をしていないのに、しばらくは何度も連呼していた。


 なので、家では誰も介護施設の話をしなくなった。



 まずい、また、連呼し騒ぎ出す!!!

 止めなくては!


 そう思ったが一足遅く、みんなは臭いを頼りにおじいちゃんの部屋に行ってしまった。




 おじいちゃんは、幼なじみがやって来たことに動揺し、逃げようとしてるのか細かく右往左往している。



「おれは、絶対にこの家から出ないからな!家族なんだから!ここは、オレの家なんだからな!!」


 やっぱり、言ってるなー



「大ちゃん、気持ちはわからなくもないのよ。でもね、息子夫婦の人生、邪魔しちゃダメよ。」と向井さん。


「おれは、絶対にこの家から出ないからな!家族なんだから!ここは、オレの家なんだからな!!」


 すると大竹さんが、
「大、テイちゃんの家みたいに、お嫁さんが出て行ったらどうすんの!あんたのせいでさ!」




「おれは、絶対にこの家から出ないからな!家族なんだから!ここは、オレの家なんだからな!!」




 向井さんが「大ちゃん、でもね・・・」





「おれは、絶対にこの家から出ないからな!家族なんだから!ここは、オレの家なんだからな!!」


 おじいちゃんの連呼攻撃は止まらない・・・



「こりゃ聞こえてないねぇ。補聴器をしなさいよ!」
 と、大竹さんが自分の補聴器を外し、おじいちゃんの耳へ。


 でも、それをかわし、左半身麻痺のおじいちゃんが逃げる。



 そこに向井さんも加わるが、学生時代、国体のサッカー選手だったおじいちゃんのフェイントで、おばあさん二人はうまく近づけない。




 だが、3人とも70才以上の方たちなので、動きはおそく、壊れたロボットのような動きで見ていてもどかしい。




 みかねた椎名が、おじいちゃんのノーマークな背中をとり、羽交い締めした。


 すかさず大竹さんが、補聴器をさす。



「お前の子供は、お前のために生きてるわけじゃないんだよ、大。あたし達は、邪魔者なの!仕事から帰って介護してなんて、かわいそすぎるよ!!こんなことくらい、自分で気付きなさい!」


 いきなりそんなことを言われ、おじいちゃんは、びっくりしていた。







「聞こえる・・・」





 そっちか!!



「なんだって?」と大竹さん。



 そうだ!
 補聴器のない大竹さんは、聞こえない。




 向井さんが、大竹さんの耳に補聴器をさし、おじいちゃんに話すよう促す。



「聞こえる」
「そうだよ!いまどきの補聴器は、性能がいいんだよ!」




「なんだって?」とおじいちゃん。



 向井さん、おじいちゃんに補聴器をさす。
 そして、大竹さんしゃべる。



「そうなの。いまどきの補聴器は、性能がいいんだよ!」

 向井さん、すぐに大竹さんにさす。

「いくら?」

「10万」

「高いなぁ」

「安もんなんか、絶対ダメよ。もう先も短いんだからさぁ、一生ものなんだから少し高くたっていいじゃない。」

「いやぁ、でもな」

「サクラちゃんが前に買った補聴器、あれだって結構するけど、外国のだったからねぇ。やっぱり国産!それで、たかいやつが一番よ!」

「そういうもんかねー」

「そうなのよ。」




 と、向井さんのおかげでふたりの会話がスムーズに。




「大ちゃん、わたし達と、一緒に暮らすのよ」
 と突然、向井さんが言った。



 え?向井さん、今なんて?


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