第23話

文字数 1,707文字

 草太さんのディナーまで勉強のはずだったが、救世主が!

 フジやんが、休憩も必要と椎名に言ってくれたのだ。

 なので、フジやんとゆったり午後の時間を過ごすあたし。

 そして、草太さんのお手伝いをしていたフジやんは、向井さんのおにぎりを食べ、感動している。

「美味しすぎるー!でも、夕飯の分、胃袋をあけておかなきゃだよね」とフジやんは、おかわりするのをやめた。

 草太さんからは、『言いにくいことでも思わず言ってしまうかもしれないティーソーダ』の差し入れが。

 このソーダはお店で一番人気。
 他にも3種類のティーソーダがあり、どれも売れ行きは良いらしい。
 いずれも、タイトル名が長くて面白い。

 『憂鬱なところから少しだけ脱却できるかもしれないティーソーダ』は、レモンバームとローズヒップのブレンドティーにぶどうジュースを入れて強炭酸水で割っている。

 そして、オレンジフラワーティーにマンゴージュースとはちみつを入れ炭酸水で割った、『苦い経験が甘いものへと変わるかもしれないティーソーダ』。

 これには、わざと氷を入れておらず、はちみつの甘さをより感じてもらえるようにしているらしい。

 あと、『"独り"ということにゆったり浸りたいときのティーソーダ』には、エルダーフラワーティーとマスカットのフルーツビネガーを炭酸水で割って、ミントがそえられている。
 このティーソーダは、シャンパンみたいな色でお酒のようだった。



 全部飲ませてもらったが、どれも美味しい!

 お酒を飲んだことはないが、お酒を飲むとこんな感じなのかもな ・・・
 そうだとしたら、お父さんがお酒飲んで帰ってくるのも、わからんではない




 フジやんが、「『"独り"ティーソーダ』って、かなをイメージして作ったんじゃないですか?」と草太さんに話しかけた。

「わかった?!さすが!」と草太さん。




 あたしをイメージ???
 いつも、ひとりぼっちだからか?




「"独り" って、僕の中では孤独ではないんだよね。一匹狼って感じで、カッコイイ感じ。かなちゃんが狼ってことじゃないんだけど・・・。なんか、わかる?」と草太さん。




 あたしが一匹狼??
 全然、わからん!




「わかるー!!!」とフジやん。




 狼?あたしが??
 どっちかと言ったら・・・・・
 なんだろ?




「同じクラスになって、かなを見てたら、無理して友達を作らなくてもいいんだなと思ったんだ。独りでもいいんだって。そしたら、なんか楽になったのね。それで、かなと友達になりたいと思って。で、声かけたんだー。あー、恥ずかしー」とフジやんは顔を赤くしていた。




 かわいーー!!!
 なんか、わからんけど、小3で友達作るの諦めて良かったー
 だって、フジやんが楽になったんだもんね




「友達を作らないといけない、とか、一人は孤独でさみしい、とか思って、友達作ってる人もいると思うんだよね。仲良くなりたい人と友達になればいいだけで、いなければ独りでもいいのに。それに気づいていない人、多いんじゃないかな?」と草太さん。

 すると椎名が、「おれも、小3まではクラスの人間と、友達にならないといけないって思ってたな」と言った。




 あたしと同い年で???
 みんな小3で悟るのか?




「さくらさんが、『うちの孫は友達いらない、独りでいい』って言ってるって聞いてさ。友達いなくてもいいんだって、考え方を変えることが出来た」と椎名。




 椎名より先に気づいたあたしって・・・
 すごいなぁ、あたし!




「かな!ちょっと!!」とフジやんが慌てている。

「小3って、あの事件の時だよね。・・・ってことは、かなの発言によって友達はいらない。そんでもって、ウンチ投げてやれ。そうやって決行されたんじゃない?????」とフジやんが小声で言った。




 なんですとーーーーー!
 あたしが引き金を・・・・・

 だからか!
 なんか妙にウンチの投げ方、丁寧に教えてくるし・・・
 あたしを仲間だと思っているに違いない

 あー、『変な縁を断ち切る事ができるティーソーダ』がほしいですーーーー




 椎名が笑みを浮かべて、こちらを見ていた。

 フジやんはいつものように、「かな、気をつけて」と言った。




 だから、どうやって気をつければいいのー?!
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