第40話

文字数 1,319文字

 みんなで、ハルカさんとヒカルちゃんをアパートまで送っていった。
 シェアハウスや商店街は駅の東口にあるが、ハルカさんのお家は西口だった。

「商店街のお仕事の時は、家からじゃ大変だからシェアハウスに泊まったりすればいいわね。」と向井さん。
 それには、おじいちゃんも大賛成。
 ハルカさんは遠慮していたが、ヒカルちゃんに会いたがるおじいちゃんの勢いに負け、そうすることになった。

 康夫さんは別れ際に、「俺の後輩にポリ公がいるからさ、ハルカちゃんのアパートあたりも見回るように言っとくね」と伝えていた。




 おまわりさんのこと、ポリ公っていうんだな
 後輩って、前に公園で会った人だよね
 西口って管轄外じゃないの?




「西口のスーパー寄っていかない?いま、人気あるんでしょ?」と向井さん。
「そうなんですよ。何年か前から、お惣菜とか美味しくなって。あと、映えっていうの?インパクトあっておもしろいんですよね。あそこの店長、2代目でダメダメだったんですけど、良い人材が入ったんじゃないですかね」と康夫さんが教えてくれた。

 西口のスーパーは、建物が古くキレイではなかったが、大勢のお客さんで賑わっていた。

 映えるフルーツサンドや、具が7種類入った丸くて大きいおにぎり等、色んな物がある中、今の一番人気は『おはぎ』。

 こしあん、つぶあん、芋あん、抹茶あん等々、沢山のあんこの種類に加え、中のもち米がコーヒーやら、ほうじ茶やらで炊いているらしく、あんことのマリアージュが、それはそれは素晴らしいと飛ぶように売れているようだ。

 お一人様10個までとのことで、早速、向井さんと大竹さん、そして康夫が並んだ。

 あたしと椎名とおじいちゃんは、惣菜やお弁当を見繕うよう言われ、売り場へ向かった。

 『尋常じゃないくらい太い太巻き』や、『一斤サンドイッチ』等のデカ盛り系や、『お母さんのお惣菜』という映えではない商品もあった。

 『お母さんのお惣菜』シリーズは、グラム売りで好きな物を、好きな分だけ買えるようになっていた。

 「『お母さんのお惣菜』シリーズ、どれも美味しくてさ、これ目当てに来るお客も多いんだよ」と椎名が言った。





 椎名の家は、お母さんがいないから、椎名が買い物してるんだよね
 しかも、人気があるからって、わざわざ西口のスーパーまで行ってるなんて・・・
 中学生なのに、偉いわね





 どれを選べばいいか迷っているおじいちゃんに、椎名が「大さん、この『とろり半熟の煮卵』は、美味しいからおすすめだよ」と言った。
「じゃあ、一人、3個づつだな。卵は体にいいから」とおじいちゃん。





 一人、3個って多くない?
 でも、『とろり半熟の煮卵』って、おいしそうよねー!!




 その後も椎名おすすめのお惣菜と、人気のお弁当とかを選び、『おはぎ』班の向井さん達と合流。

「あとは、オムツとミルク買って終わりにしましょう」と向井さん。




 なるほどね!
 買って持って来られたら、ハルカさんでも断れないもんね
 さすが向井さん!!




 買ったものを、シェアハウス、ハルカさんの家、康夫さんの家とあたしの家分に分け、オムツ等は康夫さんが届けてくれることになった。

 そして、あたしのことを、椎名がいつものように送ってくれた。
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