第47話

文字数 1,146文字

 あー、面倒なことになってしまったーーー

 『パパ・ママ』から、『お父さん・お母さん』に呼び方を変える問題
 いつ言おうか悩んで、何年も先延ばしにしてたのよね
 つい、口を滑らしてしまった・・・

 お父さん、尋常じゃないくらい無表情になってたけど、どんな気持ちになると、あの表情になるのだろうか?

 『お父さん』と、言い方を変えるあたしの方が大変だと思ってたけど、言われた側のほうが大変そうだったなー
 そういうものなのかな?

 あー、『お母さん』の時も、こんな感じになっちゃうのかな
 面倒くさいわー!!
 まあでも、鉄仮面とは話さないから大丈夫か





「あれ?和哉さん、帰ったのか?」





 椎名はあたしのお父さんを和哉さんと呼ぶ
 椎名とうちのお父さんはお友達なんだもんねー





「サトコさんが帰ったから来ないのか?」



 

 え?サトコさん?
 もしかして、鉄仮面とも友達なの?!



 


「サトコさんとは、まだ友達じゃないから。でも、和哉さんからいろいろ聞いてるけどな」




 いろいろ?
 悩みとかも?
 鉄仮面が悩んでるなんて、全然知らなかった
 悩みってなんなんだろうなー?

 言うわけないかー!
 口止めされてるよね、そういうのって





「気になるのか?」





 気になるっていうか・・・
 うーん・・・
 あれ?
 すごく気になるわけでもないかな?

 だって、悩みを聞いたところで、あたしが解決できるかわからないしねぇ
 鉄仮面と性格違いすぎて、何で悩んでるのか、聞いたところでわかんないだろうし
 鉄仮面が悩んでたことすら、わかんなかったしさー

 ・・・そうだよね
 わからないんだな
 あたしもお母さんも、お互いにわからないんだ

 本当に全然違うんだもん
 性格も、価値観も、何もかも!
 わかるわけない

 親だから子供のことをわかるのは当たり前だと思ってたけど、椎名みたいな子供だったら・・・





「なんだ?おれの顔に何かついてのるか?」






 椎名ほどではないけど、あたしのような人間が子供だった場合も・・・
 相当、わかりにくいよね

 だって、あたしって──
 表情ないし、喋らないし、つかみにくい性格だし・・・

 親は、わかりやすい子を産みたいだろうなぁ・・・





「反省してるのか?」




 お母さんはあたしのことを、わからないからわからないと言っただけ
 わかりたくないとか、見捨てるとか、そういうのではなく、ただただ素直に

 言われた方は、結構、傷つくけど・・・
 でも、わからないんだから、しょうがないわけで・・・

 あー、なんか、ぐるぐるするー!
 あたしが頭が悪いから?
 なんか、全然、解決しない!!




「おい!大丈夫か?!」




 大丈夫ではございません!

 だって・・・
 家族が面倒くさいのは、あたしが頭悪いから
 それだけなんですよ

 いままで、一丁前に悩んでたのが、恥ずかしいんですけどーーー!!!
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