――ぽわーる ぐれいぐーす と とりい じろー の ひみつ

文字数 823文字

 ぽわーる ぐれいぐーす と とりい じろー の ひみつ

1・ぽわーるは しんだ
2・ぽわーるは じろーの からだに はいった
3・ぽわーると じろーは ごかんを きょうゆう している
4・ぽわーると じろーは しこうを きょうゆう していない
5・ぽわーるは じろーの からだを そうさする ことができる
6・ぽわーるは じろーの からだから はなれる ことができる
7・じろーは おとこのこから おんなのこに なった

※ぽわーるの 1かいめ ちゅうかん こうさつ
A・ぽわーるの じょうたいは にほんの おばけ ゆうれいと よくにている かも
B・じろーの へんしんのひみつは まだ わからない

+

「ぽわーる=ぐれいぐーす……ポワール=グレイグース。ポワールさん?」
 そう言えば昔、平仮名に長音記号を使うな、と小学校の担任にたしなめられたっけ。気配を感じて横に眼をやると、白いブラウスと赤い髪の女が机に手を突くフリ。
「そ、好きに呼んでね。よろしく。ジロー」
 にへら、と甘える笑顔で、自らの状態を幽霊に似ていると断じた女、ポワール=グレイグースはやっと、名乗った。
 自分の事なんてどうでもいい、と思っているような気軽さで。
 きっと、いつも顔が見られるなら、百面相をしていて面白い人なんだろうと寿郎は思う。
 寿郎の知らない顔もあるのだと思う――原因を尋ねにくいほどの大怪我をして、里山とはいえ、その頂上まで飛ばされて、壮絶な笑みを浮かべながら死んだ。
 ――何故。
 どうやったら、そんな風に死ねるのだ。
 何故、そうなったのか、寿郎は今更だが全く知らない事に気がついた。
 ふたりのルールブックの一ページ目には、現在の事しか書かれていなかった。
 笑って死ねる人の心の根本は、どんな顔をしているのだろうかと。
 また、寿郎が元の体に戻りたいと確かに言った事も。
 これまでのこと、これからのことは何も、書かれていなかった。
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