生還(3)
文字数 1,342文字
加藤部長、いや薬師華佗……。
彼の存在について、耀子先輩は理解できている様だが、僕には何がどうなっているのか、さっぱり分からなかった……。
「何のことなんです? これは、どう云うことなのですか?」
「橿原君、君はエキストラではなく、大切な出演者なんだ。勿論、君にも分かる様に説明させて貰うよ」
薬師華佗は僕にそう言う。
説明して貰えるのと、大切な出演者と煽 てて貰ったので、僕は少々気分がいい。
「あれは、2000年位昔のことだ……。
儂は南の島の少年、ここでは一朗太とされた少年の依頼で、謎の奇病『鳥憑き』の治療を頼まれたのだ。そこで儂は、善次郎殿に扮した儂の弟子と共にこの島へとやってきた。
そこで、橿原君も見た様に、少年の父は死に、儂らは正直途方に暮れた。治療する相手がいなくなったのだからな……。
しかし、このまま帰る訳にもいかん。この病気の謎を解き、治療法を見つけねばならぬと儂らは考えたのだ。
しかし、まさか島民が信じる様に、悪魔鳥の呪いとは思わんが、病気の原因を掴むことは出来なかった。
儂は当初、これは頭に出来た腫瘍が原因だと思っておった。これにより患者が幻覚を見ておるのだとな。ならば、儂の得意な頭骨を割っての治療が有効と考えておったのだ。
しかし、病人は1人だけではない。伝染力も小さい様だが伝染もする様だ……。
すると、これはいかなる病気なのか?」
「見つかったのですか?」
「いや、その前にあの火山が爆発した。儂は数人の島民とともに、命からがら島から逃げ出し、それから先は『鳥憑き』を発症する者もなく、あの病気は結局、謎のまま、この世から消えてなくなってしまったのだ」
薬師華佗がそれを言い終わると同時に、一朗太君を始めとする島民全員の姿が、霧の様に徐々に薄くなり、そして消えて行く。その中で、一朗太君は僕らに向かって笑顔で手を振っていた。
「すると、あなたは2000年の前の人間だと言うのですか? それが、どうやって現代まで生きていて、あんなアトラクションを創れたと云うのですか?」
「そう……。儂は、日本では邪馬台国の時代の人間だったのだ。だが、儂は仙人の様な人間でもあってな、理論は説明せんが、仙術も使えるのだよ……。
それでな、死んだ後も生き続け、この病気の謎を解き明かそうとしておったのだ」
僕は声も出ない。まだ卑弥呼の時代に、その様な謎の病気が日本にあったなんて……。
でも……?
「当時の日本の島で、あんな火山爆発なんて記録、何処かにあったかな……?」
「幸四郎、恐らく、あの島は日本ではないわ。彼の力で、島民は日本語を話す様な幻に創り替えられていただけ……」
「うむ、その通り、日本では無い。何処の国か説明する必要は無いだろうから、日本で無いとだけ言っておこう。儂には何処の国でも良かった。あの病気の正体を突き止められる知識の持主がいさえすれば」
「それが加藤君?」
「そうだ。儂は何人もの医者に憑依していくうちに、これは寄生虫症ではないかと思い始めておった。そうした中、地方病に思い入れの深い加藤と云う青年が目に留まり、彼の知識を得ようと彼に憑依したのだ。
彼には、それに加え、特別な友人がいた。耀公主と云う名のな。そのことも、儂が彼を選んだ要因の一つだったな……」
彼の存在について、耀子先輩は理解できている様だが、僕には何がどうなっているのか、さっぱり分からなかった……。
「何のことなんです? これは、どう云うことなのですか?」
「橿原君、君はエキストラではなく、大切な出演者なんだ。勿論、君にも分かる様に説明させて貰うよ」
薬師華佗は僕にそう言う。
説明して貰えるのと、大切な出演者と
「あれは、2000年位昔のことだ……。
儂は南の島の少年、ここでは一朗太とされた少年の依頼で、謎の奇病『鳥憑き』の治療を頼まれたのだ。そこで儂は、善次郎殿に扮した儂の弟子と共にこの島へとやってきた。
そこで、橿原君も見た様に、少年の父は死に、儂らは正直途方に暮れた。治療する相手がいなくなったのだからな……。
しかし、このまま帰る訳にもいかん。この病気の謎を解き、治療法を見つけねばならぬと儂らは考えたのだ。
しかし、まさか島民が信じる様に、悪魔鳥の呪いとは思わんが、病気の原因を掴むことは出来なかった。
儂は当初、これは頭に出来た腫瘍が原因だと思っておった。これにより患者が幻覚を見ておるのだとな。ならば、儂の得意な頭骨を割っての治療が有効と考えておったのだ。
しかし、病人は1人だけではない。伝染力も小さい様だが伝染もする様だ……。
すると、これはいかなる病気なのか?」
「見つかったのですか?」
「いや、その前にあの火山が爆発した。儂は数人の島民とともに、命からがら島から逃げ出し、それから先は『鳥憑き』を発症する者もなく、あの病気は結局、謎のまま、この世から消えてなくなってしまったのだ」
薬師華佗がそれを言い終わると同時に、一朗太君を始めとする島民全員の姿が、霧の様に徐々に薄くなり、そして消えて行く。その中で、一朗太君は僕らに向かって笑顔で手を振っていた。
「すると、あなたは2000年の前の人間だと言うのですか? それが、どうやって現代まで生きていて、あんなアトラクションを創れたと云うのですか?」
「そう……。儂は、日本では邪馬台国の時代の人間だったのだ。だが、儂は仙人の様な人間でもあってな、理論は説明せんが、仙術も使えるのだよ……。
それでな、死んだ後も生き続け、この病気の謎を解き明かそうとしておったのだ」
僕は声も出ない。まだ卑弥呼の時代に、その様な謎の病気が日本にあったなんて……。
でも……?
「当時の日本の島で、あんな火山爆発なんて記録、何処かにあったかな……?」
「幸四郎、恐らく、あの島は日本ではないわ。彼の力で、島民は日本語を話す様な幻に創り替えられていただけ……」
「うむ、その通り、日本では無い。何処の国か説明する必要は無いだろうから、日本で無いとだけ言っておこう。儂には何処の国でも良かった。あの病気の正体を突き止められる知識の持主がいさえすれば」
「それが加藤君?」
「そうだ。儂は何人もの医者に憑依していくうちに、これは寄生虫症ではないかと思い始めておった。そうした中、地方病に思い入れの深い加藤と云う青年が目に留まり、彼の知識を得ようと彼に憑依したのだ。
彼には、それに加え、特別な友人がいた。耀公主と云う名のな。そのことも、儂が彼を選んだ要因の一つだったな……」