第四章-20

文字数 657文字

       20

 ミーティングが終わった。遥香と桐畑の提案は通り、ホワイトフォードは2―3―5にフォーメーションを変更した。
 ハーフバックの一人がフルバックに、フォワードだった遥香がハーフバックに移動した形である。桐畑、エド、ブラムは、フォワードのままだった。
 ウェブスターのボールで後半が始まり、ぱんぱんとパスが回る。ホワイトフォードのコートの中ほどで、ボール保持者のヴィクターと、遥香が向かい合った。
 中央を、最後尾のギディオンが走り込んできた。守備を無視した捨て身の攻撃である。
「二枚で対応! 一人は密着! もう一人は、すぐにカバーができる位置で!」
 後ろに重心を置く遥香は、ばっと後ろに右手を遣って指示をした。ギディオンに二人のマークが付く。
 ヴィクターは、すばやく右足を小さく振り被った。しかし、右足はボールの上を行った。同じ足で、さっと外へと持っていく。
 読んでいた遥香は、ヴィクターとほぼ同時に動き出した。スピードで勝るヴィクターに、遅れずに並走する。
 遥香を抜き去れないヴィクターは、右足の裏でボールの勢いを止めた。ギディオンはバック・ステップで元の位置に戻り、ホワイトフォードの態勢が整う。
(さっすが、天下に轟く龍神女子の未来のキャプテン様だぜ。マジできっちり仕事をしてくれやがる)
 高揚する桐畑は、「前から見ても、素晴らしい連係だ! 決勝は完封して、気持ちよーく明日を迎えようや!」と思いっきり喚いた。
 その後、ウェブスターにトラップ・ミスがあり、ホワイトフォードは立ち上がりを無難に終えた。
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