第8話:神戸地震と銀行合併時代とヤフー公開株

文字数 1,910文字

 やがて1995年を迎えた。この年が、あけて間もない1月17日午前5時46分に発生した兵庫県淡路島北部を震源とする大地震が起きた。この地震は直下型で、大きな被害を受けた地域が限定された地震だった。神戸駅近く、淡路島など断層上、地域の被害が特にひどく火災、家具の下敷きで亡くなる人が多かった。この時、母が朝の支度を始めた頃だった。

 そこで、母が、テレビのチャンネルをNHKに回すと神戸市付近で大きな火の手が上がっていますと、ニュース映像が入った。そのうち安心高速道路の高架橋が無残に破壊されている映像が流れたが、映画のシーンのようで、にわかに現実だとは信じられない程のひどさだった。鉄筋コンクリートの大きなビルの1階が完全に押しつぶされてる映像も恐怖をあおった。

 昼頃に阪神淡路だ震災の全貌がわかり、愕然とした。3月にはオウム真理教による地下鉄サリン事件で地下鉄の霞ヶ関駅構内で倒れてる人の映像がながれ死者が出た。夏には、不良債権で住専やコスモ、木津、兵銀など金融機関の破綻相次いだ。10月には、大和銀が巨額損失、米当局の追放措置で住友銀との合併の話。

 三菱銀と東京銀、合併で合意と銀行の再編が起き、全国の地方銀行の合併が増えるかもしれないと、村井俊美は、直感した。村井俊美は、銀行業務をしていると巷の景気が良いか悪いか手に取るようにわかる気がした。その点からみても、最近の日本の不景気は、尋常ではないと、実感していた。

 それを証明するかのように、景気低迷で就職難続き、円高・株安で公定歩合史上最低の0.5%、これにより日本経済の体温が、どんどん奪われていった。しかし、この世の中の動きに、関係なく村井俊美は、友人たちと横浜散策を楽しんでいた。やがて1996年となった。この年の1月、村井俊美と友人たちの3人が有給休暇を取って3泊4日で旅行に出かけた。

 そしてアメリカ系デパート、メーシーズのディスカウントセールで洋服やハンドバッグなどを買い、昼間は、グアムの暖かい日差しを浴びて楽しんできたようだ。しかし、日本に帰って来ると寒い寒いと連発し温度差で体調を崩し銀行を休んだ。この時、村井利美がシティバンク・グアム支店に口座を作ったと話した。

 その理由を聞くと、今後も冬の寒い時にグアムに来て、米ドルで買い物したいからと言った。この頃、村井孝一と殿村啓介、南健一郎と鮫島重利の4人は、南が、会社で麻雀を覚えて、3人に教えて、毎月1回、土曜の夜、新横浜で麻雀をするようになった。ルールは、いたって簡単。優勝者は、麻雀後の飲食代無料。

 2位は、半額、3位は、1.5人分の支払い4位は2人分の支払いとした。時間は3時間までして11時には、終了するようにした。今年も夏休みも村井家のハイエースで横浜に朝5時に出て16号線で八王子から中央高速で韮崎インターチェンジで降り、ファミレスで朝食を食べて清里のまきば公園で散策した。

 そこから、運転を交代し松原湖を左折して山岳道路へ麦草峠の最高地点の標高2127メートル近くの公共駐車場に車を置いた。その後、周辺を散策して持参したキャンプ道具で、お湯を沸かし、珈琲とファミリーレストランで買ったパンを食べた。奥蓼科の見晴らしの良い所で、一休みして、多くの写真を撮った。

 茅野を抜け、諏訪湖のほとりの今夜の宿に行き、車と荷物をおいて諏訪湖のほとりを散歩して、15時にホテルにチェックイン。その後、温泉に入り、仮眠したりテレビを見て休んだ。その後、近くの商店でビールとつまみを購入し、19時から夕食を食べた。部屋に戻り、今日のドライブの話しながら、酒盛りが、始まった。

 その後、各自、風呂に入ったり、夜の諏訪湖を眺めたり、自由に過ごし、床に就いた。翌朝、8時に置き、朝食を食べて、9時に宿を出発。車で、松本城へ向かい、見学して、信州名物「おやき」を買った。11時過ぎ、松本インターチェンジから中央高速に乗り、途中、諏訪湖サービスエリアの高台から諏訪湖と対岸の八ヶ岳の景色を見て、多くの写真を取った。

 出発前に土産を買い中央高速に入り、その後、山梨の大きなサービスエリアでトイレ休憩を入れて、八王子インター出た所で、運転手を交代し16号線を横浜方面に向かい、16時過ぎに各自を下ろして、17時前に村井は、実家に帰った。そうして、1996年が終わり、1997年を迎えた。

 この年の春に、ヤフーが新規公開するかも知れないという情報が、証券会社から入った。すると、早々に、村井次郎が、俺の分と息子の孝一の分として3株ずつ合計6株を買いたいと伝えた。すると証券会社の担当者が、できるだけ努力しますと答えた。
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