謝罪

文字数 1,228文字


翌朝ーー
「おはようございます。昨日は、ありがとうございました」
「おはよう。どういたしまして。体調は、どう?」
「あのお薬スゴイですね。声も体調も大丈夫です」
「本当に……?ムリしてない?」
「はい」
「ウギャアアアアアアアッ!!」
「レヴィ?」
「レヴィさん?」
レヴィの悲鳴に駆けつけたアイリスと咲良の目の前には、ミゾオチを押さえて苦しそうにうずくまるレヴィと、「ねこ缶」とブツブツ言っているミューの姿があった。
(なんかデジャブを感じる光景ね)
「ヒーリング」
「……アイリス、すまない、助かった」
「レヴィさん……」
「あ、あぁ、すまない。大丈夫だ。起こしちまったか?」
「いえ、アイリスさんとお話してて……」
!!
「声、大丈夫なのか?」
「はい、大丈夫です」
「レヴィ、今さらそこですか?」
「そうか、良かった。俺まだ寝ぼけてるみたいだな。顔洗ってくる」
「私も、和泉を起こしてきます」

1時間後ーー。

「相原 和泉さん」
「古泉 咲良さん」
「改めましてグノーシス城王宮魔術師アイリス・フォーミュラーと申します」
「レヴィ・グレイス。グノーシス城王国騎士団団長だ」
「……グノーシス城?」
「魔術師?騎士団?」
「グノーシス城は、ここから南西にある城で王族が国を治めている」
「国に雇われてる魔術師が王宮魔術師、騎士が王国騎士団になるわ」
「公務員ってこと?」
咲良の袖口をツンツンすると、小声で聞いている。
「そうね。国家公務員って感じみたいね。軍隊寄りだけど」
「セレス王女の依頼で、アイリスがあなた方を召喚した」
「でも、召喚するはずだった場所からずれてしまったの。これは私の責任だわ」
「あなた方には、本当に申し訳ないことをした」
アイリスとレヴィは、2人揃って深々と頭を下げた。
「そんな……困ります。頭をあげてください」
「しかし……」
「だから来てくれたのでしょう?無事だったんだし大丈夫ですよ」(和泉が無事じゃなかったら許さないけど……)
「レヴィさん、アイリスさんも」
肩をもって強制的に身体を起こす。

アイリスに咲良がハンカチを渡している。

「……ありがとう」
ハンカチを受けとると涙を拭いている。
「レヴィさんもアイリスさんもすごく強いのに、なぜ私達を?」
「王家に伝わる古い伝承があるのです」
「伝承……ですか?」(難しいのかなぁ)
王国に危機が迫りしとき

異世界より舞い降りし少女2人と聖獣さまが世界を救うという内容です。

「異世界の少女2人は私達ということですか?」
「あぁ、そう考えて間違いない」
「では、聖獣さまというのは……?」
「せ……聖獣さまは、陰ながら勇者さまをお守りするので、表には出て参りません」
「………………」


「そろそろでないと今夜も野宿だぞ」
(聖獣さまって隠さないといけないことかなぁ。あからさまに様子が……)
「そう……そうね。急いで出発しましょう」
右手と右足を同時に出したアイリスが、ズンズンと進んでいく。
「怪しすぎる……」
ミューへの疑いをますます強めた和泉が鋭い目線でアイリスを見送っていた。
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登場人物紹介

相原 和泉(あいはら いずみ)


高崎先輩に恋する剣道部チームリーダー


高二。剣道部。

咲良の親友。朝に弱く、毎朝チョコのムーンサルトダイブで起こされる。キノコの里山が大好き。

古泉 咲良(こいずみ さくら)


冷静沈着な純心寺の跡取り


高二。和泉の親友。

純心寺の後継ぎとして育てられたため、多少の術が使える。

しっかり者で、朝に弱い和泉を心配して毎朝迎えにきてくれる。パンケーキと紅茶に目がない。

レヴィ・グレイス


激辛好きな若き王国騎士団団長


王国騎士団団長。アイリスと同期

代々、騎士団団長をだしている名家の産まれ。

前騎士団団長は父であり、行方不明の父と兄の代理として騎士団団長を勤める。立場上、冷静にふるまってはいるが、熱血漢で正義感が強い。王家に対する忠誠心が高い。

アイリス・フォーミュラー


薬学に通じる刻と氷の魔術師


王宮魔術師。レヴィと同期。

王宮魔術師長ルーカスを父にもつ苦労人で少しドジなところはあるが魔力の高さは随一。エリクサーの創始者。かなりの苦さのため理由をつけて飲まない騎士団員や魔術師も多く、心を痛めている。


責任感が強く召喚の位置がずれたことを誰よりも申し訳なく思っている。


相原 チョコ


咲良と猫缶を愛する相原家の猫。

毎朝、和泉を起こすのが日課になってしまっている。

最初は鳴いたり肉球でプニプニしてたけど、和泉が起きないため起こす方法がエスカレートぎみ。


毎朝、優しくなでてくれる咲良が大好き。

案内ねこミュー

咲良に異様になついている。

和泉の枕元にトカゲの死骸など、ナゾのプレゼント畄⌒ヾ(・ω-。)♪をしたりとチョコと行動や性格がかぶっている。


本人(猫?)は絶対に隠したかったため、アイリスとレヴィにムチャクチャな契約をさせていたが、あえなくミュー=チョコだとバレた。


アーノルドのことを恐れている。

セレス・グノーシス   13歳   弟3王女


無事が確認できているグノーシス王家唯一の血筋。


叶わない願いと知りながらもジュリ兄大好きで、コロッと行動を変えてしまうこともあるが、国王達が帰ってきた時のために国を立て直そうと努力するがんばり屋。長く近衛を勤めたレヴィやアイリスの前では、年相応の振る舞いをみせることもあるが、公の場では毅然とした態度をとることが多い。

ルーカス・フォーミュラー


フリルとリボンを愛する凄腕の魔術師


国立魔術研究所所長、グノーシス城宮廷魔術師長

アイリスの父


おもしろいことと恋ばなが大好き。酒が入ると、その傾向はさらに加速する。猫好き。

シフォン・ブラウン


サルサの街を拠点に活動中の関西弁冒険者


もとアイリスの同僚。お節介なところがあるが本人に悪気はない。闘技場の警備や千尋のアトリエからの仕事を主にしている。

アーノルド・ブラウン


質実剛健の老紳士


レヴィが12歳の時から2年前までグレイス家に仕えていた。指南役であり、レヴィの剣術はアーノルドの影響が強い。お説教も含め、話が長いのがたまに傷。

カイ・ハズウェル


チャラさと真面目さが同居する魔法剣士


口から産まれてきたような性格だが剣の腕は確かで攻撃魔法も回復もこなす。レヴィの兄オスカーと仲がよく、レヴィのことは、からかいがいのある弟のように思っていて、本人は可愛がっているつもりである。

???

結城 千尋


5年前、不思議な光と共にやってきた凄腕錬金術師


現在は、名前だけ。

サルサの街で千尋のアトリエを経営している。

元々は女子高生だったが、1から錬金術をはじめた。

シフォンと採取に行くこともおおい。

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