約束

文字数 1,160文字

いつも通りの朝の風景。朝日が優しく射し込む中を咲良と並んで歩いていく。咲良は、私の家の斜め向かいにある純心寺の一人娘で、赤ちゃんの頃から、家族ぐるみの付き合いの幼馴染み。朝に弱い私を毎朝迎えにきてくれるしっかり者だ。私には、できた親友だと思う。
「咲良、いつもありがとーー!」
「……どうしたの?急に」
「咲良がいなかったら、毎日遅刻だよ。私」
「高校生のセリフとは思えないわね」
軽くタメ息をつくとみごとなまでに言いはなつその表情には、呆れた表情がはりついていた。うぅ、正論すぎてグゥの音もでない。それでも、なんとか言葉をかえそうとワタワタしていると


「卒業までには、なんとかしなさいよ」
「……う、うん。がんばるよ(´・ω・`)」
……そう、わかってはいるのだ。

幼馴染みとはいえ、高校を出たら家を継ぐための修行にはいる咲良をいつまでも頼っていてはいけないことはーー。

目覚まし時計を増やしてみようかな…………って、違う。

危うく本来の目的を忘れるところだった。

「おいしいパンケーキのお店があるんだ。週m…」
「行く!!」
はやっ!
いつものことだけどパンケーキの威力は絶大だ。


「私の基準は厳しいわよ。覚悟はよろしくて?」
「もっちろん。まっかせて!」
長い付き合いだ。咲良の好みは把握してる。

パンケーキが出始めた頃から2人してハマり、いろんなお店を食べ歩いてきた。実家がお寺という特殊事情のため、家でパンケーキとはいかない咲良をたまに連れ出してる。

半分は、私も食べたいからだけど。
「駅前にできたpuromisuのフルーツパンケーキが、すっごくおいしかったんだ」
「puromisuって、あのログハウスの?」
「……たす…て。こ……か……」
「そう、そう。オーガニックでね、紅茶の種類もいっぱいあるんだよ」
「どうしよう、すごく好きかも」
とろけるような笑顔で上機嫌に笑う咲良。うぅ、可愛い。

オーラというものがあるなら、全身からハートがでているんじゃないかと思うほどだ。オープン当日、剣道部の友人と部活帰りに寄ったとき、咲良と一緒に来たいと思ったのが今日の本題。


いつも助けてもらってるし感謝の気持ちもかねてーー!

といいつつ半分は、私が食べたいからだけど……。

「やったぁ。約束ね」
「うん、約s……!?」
「おね……い」
突然あらわれた魔方陣らしきものから、あふれでる黄金の光の奔流にのみこまれていくーー。
「咲良っ!」
「和泉っ!!」
洗濯機に入ることがあったら、こんな感じなんだろうなって思ってしまうくらい、高速でグルグル廻り続ける。


……気持ち悪い。咲良の手をとろうと懸命に手をのばすものの、最初に手を取れなかったままの位置関係のままグルグル廻っているらしく、届きそうで届かない。

「さ…………ら……」
脱け出すことも、手を取れることもなく、なすがままに光にのまれていく。
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登場人物紹介

相原 和泉(あいはら いずみ)


高崎先輩に恋する剣道部チームリーダー


高二。剣道部。

咲良の親友。朝に弱く、毎朝チョコのムーンサルトダイブで起こされる。キノコの里山が大好き。

古泉 咲良(こいずみ さくら)


冷静沈着な純心寺の跡取り


高二。和泉の親友。

純心寺の後継ぎとして育てられたため、多少の術が使える。

しっかり者で、朝に弱い和泉を心配して毎朝迎えにきてくれる。パンケーキと紅茶に目がない。

レヴィ・グレイス


激辛好きな若き王国騎士団団長


王国騎士団団長。アイリスと同期

代々、騎士団団長をだしている名家の産まれ。

前騎士団団長は父であり、行方不明の父と兄の代理として騎士団団長を勤める。立場上、冷静にふるまってはいるが、熱血漢で正義感が強い。王家に対する忠誠心が高い。

アイリス・フォーミュラー


薬学に通じる刻と氷の魔術師


王宮魔術師。レヴィと同期。

王宮魔術師長ルーカスを父にもつ苦労人で少しドジなところはあるが魔力の高さは随一。エリクサーの創始者。かなりの苦さのため理由をつけて飲まない騎士団員や魔術師も多く、心を痛めている。


責任感が強く召喚の位置がずれたことを誰よりも申し訳なく思っている。


相原 チョコ


咲良と猫缶を愛する相原家の猫。

毎朝、和泉を起こすのが日課になってしまっている。

最初は鳴いたり肉球でプニプニしてたけど、和泉が起きないため起こす方法がエスカレートぎみ。


毎朝、優しくなでてくれる咲良が大好き。

案内ねこミュー

咲良に異様になついている。

和泉の枕元にトカゲの死骸など、ナゾのプレゼント畄⌒ヾ(・ω-。)♪をしたりとチョコと行動や性格がかぶっている。


本人(猫?)は絶対に隠したかったため、アイリスとレヴィにムチャクチャな契約をさせていたが、あえなくミュー=チョコだとバレた。


アーノルドのことを恐れている。

セレス・グノーシス   13歳   弟3王女


無事が確認できているグノーシス王家唯一の血筋。


叶わない願いと知りながらもジュリ兄大好きで、コロッと行動を変えてしまうこともあるが、国王達が帰ってきた時のために国を立て直そうと努力するがんばり屋。長く近衛を勤めたレヴィやアイリスの前では、年相応の振る舞いをみせることもあるが、公の場では毅然とした態度をとることが多い。

ルーカス・フォーミュラー


フリルとリボンを愛する凄腕の魔術師


国立魔術研究所所長、グノーシス城宮廷魔術師長

アイリスの父


おもしろいことと恋ばなが大好き。酒が入ると、その傾向はさらに加速する。猫好き。

シフォン・ブラウン


サルサの街を拠点に活動中の関西弁冒険者


もとアイリスの同僚。お節介なところがあるが本人に悪気はない。闘技場の警備や千尋のアトリエからの仕事を主にしている。

アーノルド・ブラウン


質実剛健の老紳士


レヴィが12歳の時から2年前までグレイス家に仕えていた。指南役であり、レヴィの剣術はアーノルドの影響が強い。お説教も含め、話が長いのがたまに傷。

カイ・ハズウェル


チャラさと真面目さが同居する魔法剣士


口から産まれてきたような性格だが剣の腕は確かで攻撃魔法も回復もこなす。レヴィの兄オスカーと仲がよく、レヴィのことは、からかいがいのある弟のように思っていて、本人は可愛がっているつもりである。

???

結城 千尋


5年前、不思議な光と共にやってきた凄腕錬金術師


現在は、名前だけ。

サルサの街で千尋のアトリエを経営している。

元々は女子高生だったが、1から錬金術をはじめた。

シフォンと採取に行くこともおおい。

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