風の宝珠+α(1の続き~区切り迄。短いです)

文字数 898文字

「……………セレス」
「ジュリアス……兄さま?」
風の宝珠とジュリアスの交換を提案した4天王リディアに動揺するセレス達。
服が違うだけでセレス達の目の前にいるのは、半年前に城を後にしたジュリアスそのものである。容姿も声も……。
(……この方がジュリアスさま?でも、この感じ)
!?

(……なによ、これ)

「風の宝珠をこちらにーー!」
「お兄……さま」
王位継承権でいえば第3王女であるセレスより、第2王子であるジュリアスの方が上である。そのジュリアスが風の宝珠を渡すようにいえば、拒むことは第3王女とは言え難しい。
でも、いま風の宝珠をジュリアスに渡すことは、渡した宝珠がその場でリディアに渡ることを意味する。
セレスの知っているジュリアスなら、絶対に言わない言葉だ。

アーノルドや憧れていた勇者を無視して話しをすすめることも考えにくい。

なにかおかしいと思いながらも、それを認めたくない気持ちもあり、混乱する想いに翻弄されるようにフラフラと風の宝珠の保管場所に歩き始めた。


(チョロイわね)

「セレスさま!」

「……アーノルドさん」

「あれはジュリアスさまでは、ございませぬ」
「で、でも……」
掴まれた手をほどこうとするが、まったく動かない。
「いい加減なことを言うな。ジジイ!」
「アーノルドでございます」
「……ジジイでじゅうぶんでしょ」
「では、あなたのことは遺跡荒しと」
「リディアだ」
「失礼。緑髪の方がお好みでしたかな」
「どんな呼び名なのよ!」
「アーノルドさん、離してください。私は……」
(セレスさま。惑わされてはなりませぬ)
………………
(ジュリアスさまなら風の宝珠を渡せなどとは、おっしゃいません)
「…………!」
(むしろ逆のことをおっしゃる方ではございませぬか?)
「ねぇ、どうするの?」
「2~3分、お時間いただけるかしら?」
「……わかったわ。それ以上は待たないわよ」
(セレスさま、ジュリアスさまのマナの全体をご覧くださいませ)
(……マナの全体!?)
「えっ!?」


歪んだマナに、一瞬目眩をおぼえる。

ジュリアスの姿だけが薄く霞がかかったように見えない。

(マーヤーの類いにございます)
!!
(……幻影だというの?)
(さようでございます)
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登場人物紹介

相原 和泉(あいはら いずみ)


高崎先輩に恋する剣道部チームリーダー


高二。剣道部。

咲良の親友。朝に弱く、毎朝チョコのムーンサルトダイブで起こされる。キノコの里山が大好き。

古泉 咲良(こいずみ さくら)


冷静沈着な純心寺の跡取り


高二。和泉の親友。

純心寺の後継ぎとして育てられたため、多少の術が使える。

しっかり者で、朝に弱い和泉を心配して毎朝迎えにきてくれる。パンケーキと紅茶に目がない。

レヴィ・グレイス


激辛好きな若き王国騎士団団長


王国騎士団団長。アイリスと同期

代々、騎士団団長をだしている名家の産まれ。

前騎士団団長は父であり、行方不明の父と兄の代理として騎士団団長を勤める。立場上、冷静にふるまってはいるが、熱血漢で正義感が強い。王家に対する忠誠心が高い。

アイリス・フォーミュラー


薬学に通じる刻と氷の魔術師


王宮魔術師。レヴィと同期。

王宮魔術師長ルーカスを父にもつ苦労人で少しドジなところはあるが魔力の高さは随一。エリクサーの創始者。かなりの苦さのため理由をつけて飲まない騎士団員や魔術師も多く、心を痛めている。


責任感が強く召喚の位置がずれたことを誰よりも申し訳なく思っている。


相原 チョコ


咲良と猫缶を愛する相原家の猫。

毎朝、和泉を起こすのが日課になってしまっている。

最初は鳴いたり肉球でプニプニしてたけど、和泉が起きないため起こす方法がエスカレートぎみ。


毎朝、優しくなでてくれる咲良が大好き。

案内ねこミュー

咲良に異様になついている。

和泉の枕元にトカゲの死骸など、ナゾのプレゼント畄⌒ヾ(・ω-。)♪をしたりとチョコと行動や性格がかぶっている。


本人(猫?)は絶対に隠したかったため、アイリスとレヴィにムチャクチャな契約をさせていたが、あえなくミュー=チョコだとバレた。


アーノルドのことを恐れている。

セレス・グノーシス   13歳   弟3王女


無事が確認できているグノーシス王家唯一の血筋。


叶わない願いと知りながらもジュリ兄大好きで、コロッと行動を変えてしまうこともあるが、国王達が帰ってきた時のために国を立て直そうと努力するがんばり屋。長く近衛を勤めたレヴィやアイリスの前では、年相応の振る舞いをみせることもあるが、公の場では毅然とした態度をとることが多い。

ルーカス・フォーミュラー


フリルとリボンを愛する凄腕の魔術師


国立魔術研究所所長、グノーシス城宮廷魔術師長

アイリスの父


おもしろいことと恋ばなが大好き。酒が入ると、その傾向はさらに加速する。猫好き。

シフォン・ブラウン


サルサの街を拠点に活動中の関西弁冒険者


もとアイリスの同僚。お節介なところがあるが本人に悪気はない。闘技場の警備や千尋のアトリエからの仕事を主にしている。

アーノルド・ブラウン


質実剛健の老紳士


レヴィが12歳の時から2年前までグレイス家に仕えていた。指南役であり、レヴィの剣術はアーノルドの影響が強い。お説教も含め、話が長いのがたまに傷。

カイ・ハズウェル


チャラさと真面目さが同居する魔法剣士


口から産まれてきたような性格だが剣の腕は確かで攻撃魔法も回復もこなす。レヴィの兄オスカーと仲がよく、レヴィのことは、からかいがいのある弟のように思っていて、本人は可愛がっているつもりである。

???

結城 千尋


5年前、不思議な光と共にやってきた凄腕錬金術師


現在は、名前だけ。

サルサの街で千尋のアトリエを経営している。

元々は女子高生だったが、1から錬金術をはじめた。

シフォンと採取に行くこともおおい。

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