空に浮いた五つの浮島

文字数 617文字

 この世界は空に浮いた五つの浮島から成り立っている。
 中央に四季のめぐる主島を中心に、四方に季節の変わらない四つの浮島が浮いていた。
 主島には創造主リアスがいて、各浮島には季主と呼ばれる創造主の眷属が各島を護っていた。
 季主に性別は無いが、人間を模した身体に精神が入っているので外見上は人間の男や女にみえる。
 しかし、中身は二千年以上を生きた人ではないものだ。

 秋島の秋主アレイゼス。彼は筋肉質で大柄な男性型の身体である。金髪に浅黒い肌、黄緑色の目をした、豪快で屈託のない性格だ。
 冬島の冬主ネイスクレファ。彼女はたおやかな女性型。銀色の髪に銀色の瞳をやどしている美人だが、中身や話し方が老婆のよう。
 春島の春主ルファ。彼女は豊満な女性体形で、気の強そうな紅い瞳が印象的だった。性格をうつしたような燃えるような赤毛も。
 夏島の夏主レイファルナス。彼は線の細い美しい四肢もった男性型で、青い瞳の、ほがらかで優しい性質の季主だった。

 季主たちは、基本的に人間が好きである。
 いや、人間が、というくくりではなく、自分の浮島のあらゆる生物が。

 これは春夏秋冬の浮島で起こった、季主たちにとっての大事なお話。
 
 各島の季主がその島で出会った住人との、大切なできごと。

 長く生きる彼らだからこそ、嬉しく、楽しく、切なく、忘れられない、忘れがたい、そんな想いをかみしめて生きている。
 目をそらせたくてもそらせない。

 そんな大事なできごとのはなし――
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登場人物紹介

ゼス (秋主) 


秋島の季節を守る季主。守り神のような存在。ゼスは愛称でアレイゼスという。

頑健な体つきにおおらかな性格。

ミローズ


小さなころから絵を描くのが好きで、絵描きになった女性。

多くの耳飾りや変わった髪型という奇抜なファッションをしている。


ネイスクレファ(冬主)


冬島の季主。長く生きてきたので、しゃべり方が老婆のよう。


ルーシャス白神官


冬島の筆頭神官。冬島の人間達の長。

三十代という若さで筆頭神官になった、少し変わった男。

ルファ(春主)


春島の季主。

女性体の体を持っているせいか、季主にしては女性的なものの考え方をする。

レイファルナス(夏主)


夏島の季主。人間に肩入れしやすい性格。

男性体の体をもっていて、とても美しい。

コウ・サトー (博士)


夏島出身の天才的研究者。

彼の発案から、この世界のしくみが変わる。

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