第19話:バブルのつけと日銀と大蔵省の癒着

文字数 1,547文字

 この年、大きな政治スキャンダルから始まった。大蔵省の職員らが銀行から接待を受けた際に、東京都新宿区歌舞伎町のノーパンしゃぶしゃぶ店「楼蘭」を頻繁に使っていた事が発覚した事からノーパンしゃぶしゃぶ事件とも言われている。官僚7人「大蔵省4人、大蔵省出身の証券取引等監視委員会の委員1人、日本銀行1人、大蔵省OBの公団理事」の逮捕・起訴に発展。

 起訴された官僚7人は、執行猶予付きの有罪判決が確定。この責任を取り三塚博大蔵大臣と松下康雄日本銀行総裁が引責辞任し財政と金融の分離と大蔵省解体の要因となった。事件の概要は、第一勧業銀行総会屋利益供与事件における大蔵省の検査の甘さが総会屋への焦げ付き融資拡大になった問題が浮上したことがきっかけだった。

 それを知った東京地方検察庁特別捜査部「東京地検特捜部」が、捜査を開始。特捜部は過去の強制捜査や任意提出で都市銀行、長期信用銀行、大手証券会社などから業務日誌や接待伝票を把握した。その結果、1998年1月18日、東京地方検察庁特別捜査部は日本道路公団の外債発行幹事証券会社の選定に際し、野村證券から贈賄があったとして、公団経理担当理事「天下り大蔵省OB」と、野村證券の元副社長らを贈収賄罪の容疑で逮捕。

 1月26日、東京地検特捜部はあさひ銀行・第一勧業銀行・三和銀行・北海道拓殖銀行から収賄を受け検査日程を漏らしていたとして大蔵省検査官2名を逮捕。3月3日、東京地検特捜部は、大蔵官僚2名を野村証券への便宜供与と収賄にて逮捕。3月11日、東京地検特捜部は日本興業銀行・三和銀行から収賄を受け機密情報を流出させたとして日本銀行証券課長を逮捕。

 4月27日、大蔵省は民間金融機関に関する内部調査の結果を公表し、銀行局審議官の杉井孝を停職、証券局長の長野らを減給とする等、計112人「停職1人・減給17人・戒告14人、訓告22人、文書厳重注意33人、口頭厳重注意25人」に対する処分を行った。大蔵省と日銀の現役職員が接待などの見返りに検査情報を漏らした一連の汚職事件が相次ぎ表面化した。

 逮捕者は計5人、三塚蔵相、大蔵事務次官、日銀総裁、副総裁が辞任し、金融行政への信頼は失墜。金融問題はこれだけに留まらなかった。新しい金融再生法により1998年、日本長期信用銀行、日本債券信用銀行が国有化。金融システム再生に向け借り手を保護しながら破たん銀行を処理する金融再生法と公的資金による資本注入で経営基盤を強化する早期健全化法が成立。

 両法の成立により、金融安定化のための公的資金枠はそれまでの30兆円から60兆円に達した。平たく言えば、政治家と日銀の政策の失敗で、バブル拡大化させ、慌ててバブルつぶしをした結果、日本の大手金融機関が多額の負債を抱えた。それをまるで、化粧をするように、法律を作って、国民の税金の中から50兆円を救済合併させたり負債を肩代わりした。

 当の本人たちは、仲良くノーパンしゃぶしゃぶ店で接待。まさに「越後屋『日銀、その他の銀行大手』、お主も悪よのーと言う悪代官『大蔵省男、自民党』の場面と同じ」。それを国民「一般庶民」にばれない様に衆院本会議で早期健全化法案が可決。その時、国会では小渕恵三首相と野中広務官房長官が満面の笑みで大きな拍手をして、これで一件落着と言った。

 気分が悪くなるので、明るい話題に変えよう。それは、長野冬季オリンピック。2月7日から16日間、長野市を中心に開催。日本での五輪開催は、1972年札幌冬季以来で26年ぶり3度目。

 長野大会には世界72カ国・地域から選手・役員3766人が参加し、冬季五輪としては史上最大規模。その大会で、日本選手たちは、金メダル5、銀メダル1、銅メダル4の合計1個のメダルを獲得し大活躍。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み