第28話:クラウドファンディングが、好調

文字数 1,936文字

 これは、社会貢献として、お金を集め、投資金額に見合った商品を株の株主優待みたいに毎年1回、与えるという事で安い金利で資金を調達したのと同じ形式で資金を集め一定期間、例えば、10年以上したら、解約可能で投資金額を返却するシステム。但し、投資資金の返却は、解約申請提出後、翌年の契約日に資金を返却するという事を明記すると良いと教えられた。

 N証券が窓口なると言った。話し合いの結果、2010年4月からクラウドファンディングを募集してくれるという話が決まった。そして、不景気とデフレの嵐の2009年が終了し2010年を迎えた。その後、クラウドファンディングの投資家優待の商品として巨峰と大きな桃の詰め合わせセット百万円投資5千円相当、50万円投資で3千円相当の商品と決めた。

 2010年1月から「太陽の恵ファンディング」と銘打って募集を開始すると株で儲からないと踏んだ個人投資家や退職後の人たちからの問い合わせが増えた。特に50万円投資コースが、好評で1月初旬、募集開始して、50本の申し込みがあった。そこで、首都圏にも拡大すると、予定数1億円分が2月中に、売り切れた。

 この話を聞いて、丹下は、商品をどうやって集めるのか、うれしい悩みを抱えることになった。丹下が、クラウドファンディング、従業員の採用、経理を担当。友部輝一、川松修二、生島次郎、太陽光と風力発電装置の保守点検と機材の購入、在庫管理と業者との交渉を依頼した。そして風力発電の想像以上の発電量には驚かされた。

 友部は、整流器、新型バッテリーの話を多くの企業と交渉した。この頃、友部の父は、山梨県の農協の幹部になり耕作放棄地の問題の担当を開始。そのため丹下聡二に、その情報が、すぐ入って来て、そのたびに友部輝一、川松修二、生島次郎の手の空いてる者が、その土地の太陽光の具合、風力の具合を調査して、丹下聡二に報告して賃貸契約を行うかどうか決めていた。

 しかし、この時期、潤沢な資金の当てができたので、次々に賃貸契約を結び、発電基地を広げていった。そして地元の工務店がブルドーザーで整地をした。2010年に入ってから、2から4ヘクタールの土地を4ケ所、新たに借り受けて、太陽光パネルと風力発電装置の一体型のタイプを設置していった。そのために管理人が1ケ所に最低2人が必要。

 1日24時間、8時間勤務交代制で、管理小屋で過ごしてもらう事にした。そして台風が来るとわかると風力発電装置のプロペラを2人がかりで外しておくのが、意外に大変だと分かった。そのため毎年、地元の中学、高校の就職担当の先生を訪問し、紹介の依頼をお願いしていた。2010年4月も8人採用して若手社員が30名を超えた。

 そして従来の様な給料性でなく、時給700円から1200円で、勤務時間によって支払う形式にした。それにより休暇も取りやすく意外にも評判が良かった。ボーナスも赤字の年以外は支払うと契約書に明記。2010年は、順調に行き収益も将来性もいう事なしの結果で終了。

 そして2011年を迎えた。冬も晴天の日が多く、雪の日が、なく、発電効率も順調に来ていた。そんな、3月11日14時47分、宮城県牡鹿半島の東南東沖130キロを震源とする東北地方太平洋沖地震が発生。地震の規模はマグニチュード9で、日本における観測史上最大の地震。山梨県勝沼で震度4.5、甲府で4.6。

 地震後、総勢42人で太陽光発電装置を1つずつ点検して回った所、実害は、ほとんどなく、一部、風力発電用の数本支柱が曲った程度で、整流器、バッテリー、地中電線には異常がなかった。しかし、東北の惨状はすさまじく、特に海辺の町が、流され全滅状態の所も多かった。絹ちゃんは、その晩は、あんまりだわ、ひどい、ひどすぎると涙を流した。

 その後「ブドウ電気株式会社」として東日本大震災の震災孤児に1億円を寄付。丹下は、夜には、太陽光発電所の状況を点検を終え帰宅した。その後、福島第一原発事故のニュースが流されると、あまりのひどさに厭世的になるほどだった。翌朝、丹下は、会社に出て、社員の自宅の状況を聞いたが、解く日にひどい被害もなかったと聞かされ、ひと安心した。

 しかし、この年の春、夏は、大震災の話題で、新しい仕事に手がつかずだった。その後、新しく借り受けた土地への太陽光パネルは10月になって、やっと全部そろった。10月中に太陽光発電と風力発電装置を設置を終えて、発電を開始した。

 そして、発電所での大きなトラブルもなく、2011年も12月となり、2012年4月に東京で世界の異常気象のシンポジウムへの招待状が舞い込んで友部輝一が代表して参加する事になった。その会議の内容のレポートを提出した。
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