第23話:米国同時多発テロと景気後退

文字数 1,658文字

 冷戦終結後、米国経済の繁栄に牽引されてきた世界の経済成長が、急激に失速。長期不振の続く日本以外、史上最長の好景気を続けた米国も2001年3月からリセッション「景気後退」入りした。欧州最大のドイツ経済もマイナス成長に陥り2001年も夏を迎えた。9月11日「米国時間」、テロ組織に乗っ取られた大型ジェット旅客機4機がハイジャックされた。

 そのうちの3機がワールドトレードセンターとペンタゴンに突っ込んだ。ボストン発ロサンゼルス行きアメリカン航空11便「ボーイング767」は、総勢92名を乗せ、午前8時頃にローガン国際空港を離陸し、ロサンゼルス国際空港に向かった。その後、11便は午前8時13分頃に始められたハイジャックでコックピットを乗っ取られた。

 11便は午前8時27分に進路を南向きに変え、午前8時46分にニューヨークのワールドトレードセンター・ツインタワー北棟に突入し爆発炎上。角度、速度ともに浅い離着陸時の事故と違い、機体の残骸はほとんど原形を留めていない程の衝撃だった。その後、ボストン発ロサンゼルス行きユナイテッド航空175便「ボーイング767」は、総勢65名を乗せて出発。

 その飛行機は、午前8時14分にローガン国際空港を離陸し、ロサンゼルス国際空港に向かった。午前8時42分頃、175便のパイロットは離陸直後に耳にした。その不審な内容の無線「ハイジャックされたアメリカン航空1便からの無線だった」について管制官に報告したが、それから午前8時26分までの間に175便もハイジャックされ、コックピットを乗っ取られた。

 その後、175便は午前8時58分にニューヨークへ進路を変え、午前9時3分にワールドトレードセンター・ツインタワー南棟に突入し爆発炎上。南棟では北棟の爆発を受けて多くの人が避難を開始していたため、人的被害は北棟に比べて少なかったが、衝突による構造へのダメージはより大きく、先に突入を受けた北棟より早く南棟が崩壊している。

 ワシントンの「ダレス国際空港」発、ロサンゼルス国際空港行きアメリカン航空77便「ボーイング757」は、総勢64名を乗せ、午前8時20分に出発。午前8時50分頃迄にハイジャックされコックピットを乗っ取られた。直後に進路を北向きに変えた後、南へ転回し、次に東へ進路変更。最初の進路離脱から3分間は管制塔と機長が交信しいたが、その後通信不能となった。

 そして午前9時38分、バージニア州アーリントンにあるアメリカ国防総省本庁舎に激突し、爆発炎上。激突の瞬間の映像がペンタゴンの駐車場の監視カメラによって記録されており、また大勢の人に激突する瞬間が目撃された。映像によると機体は水平の状態で地面を滑走しながらペンタゴンに衝突していたが、高速で建築物に激突・炎上し機体の残骸は、原形を留めてない。

 もう一機は、ユナイテッド航空93便ニューアーク空港発、サンフランシスコ国際空港行きユナイテッド航空93便「ボーイング757」は、8時42分、総勢44名を乗せ、滑走路の混雑で30分遅延で出発。乗客の機内電話からの通報で9時27分にハイジャックされコックピットを乗っ取られた。オハイオ州クリーブランド付近で進路を南に変え、さらに南東へ向かった。

 ワシントンD.C.へ向かう事を管制官に通告、標的はアメリカ合衆国議会議事堂かホワイトハウスであったと推測される。9時57分、機内電話や携帯電話による外部との連絡で、ハイジャックの目的を自爆テロと認識した乗客が機の奪還に乗り出す。10時3分、93便は、時速563マイル、時速907キロの速度でペンシルベニア州ピッツバーグ郊外シャンクスヴィルに墜落。

 9・11の米同時多発テロを受け、米英両政府は反米テロの黒幕、ウサマ・ビンラディン容疑者を首謀者と断定、同容疑者のイスラム原理主義テロ組織アルカイダを隠し続けるアフガニスタンのタリバン政権に対し空爆を中心とした激しい軍事攻撃を実施した。この攻撃で首都カブールは陥落し、タリバン政権は崩壊した。
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