第30話 尾道 しまなみ海道を自転車で 疾走編
文字数 2,148文字
ファーストステージよろしく道なりにスイスイ走ってるうちに
まだまだ元気な僕は、サクッと今から渡る橋の写真を撮って、また走り出した。
……今この文章を書いていて笑ってしまうのは、本当に最初は楽だったから、この先もさして大変ではないだろうと思っていたことだ。ゲームだって最初のスライムは簡単に倒せるじゃないか。バカだなあ、自分。
橋は海の上を通り、さらに船なんかが通れるようになっている。つまり橋の両端へ行くには高さの分だけ坂道を
橋への入り口を通り過ぎると、坂道が始まる。
クロスバイクのギアを一番低くして、立ち
海の上に架かる橋を渡る。フェンスの向こう側では、海、大きな岩のような小島、遠景としての島々、航行するフェリー、ボート、横切っていく鳥たちがまるで絵画のような配置で僕の目を楽しませてくれる。まだ曇り空だから海はグレー
ということで割と因島はスルー気味に通り抜けた。撮影した写真を見ても、白くてどデカい恐竜のオブジェしか映ってないし、あまり記憶にないからそういうことなのだろう。1泊2日なら因島周遊なんてのもアリでしょうが……。
そして
やはり橋へは坂を
とにかくキツイ坂を越えて橋から眺める景色は超絶怒涛の光景だ。さらに雲の色を反映したグレーの海と、青空の色を反映した
生口島のブルーラインは海に沿っていて、道中何度も右手方向に海が現れる。その度「うわあぁあ」と声にならない声を上げて、感動しながらペダルを漕いで行く。途中に平山郁夫美術館があって入るかどうか迷ったけど、汗だくで入るのもちょっとというのと、冷房が効いていたら背中を冷やすことになるので断念。
さらに進むと瀬戸田サンセットビーチがお目見え。小さいけど綺麗な浜辺で、そこから観える海については、まるで
ついに飲み水が底をつき、自販機で瀬戸内レモンレモネードという清涼飲料水を購入した。冷たいうちにひと口分をゴクリ。甘っ。疲れた身体にレモンの風味が染み渡る。ちょっとだけ元気になった気がする。
そして三度目の橋への坂上がり。もう涼しい顔はしていられない。前方から
多々羅大橋は橋長1480メートルで、広島県尾道市の生口島と愛媛県今治市の
橋自体がとても美しい構造だ。海やら橋やら美しいものに目を奪われている間にも、僕を乗せた自転車はドンドン進んでしまう。まあ、ペダルを漕いでいるからですが。
そして、ついにやって来ました県境。案内板もあるし、道にもラインが引かれていて、こっち愛媛県、こっち広島県と描かれている。ここでおよそ半分の行程を消化したことになる。ということはまだ半分しか来ていないわけで、疲れが身体の奥からドッと噴き出してきた。
そろそろ休憩が必要だァ。