第16話 熊本城と博物館

文字数 1,413文字

 熊本城は400年も前に加藤清正公により築城された。本当はもっと前から隈本城としてあったらしいが、とにかく清正公が本格的に城として築きあげたそうな。
 西南戦争でかなりの部分を焼失したり、たびたび地震の被害に遭っているお城だ。



 城へ入る前に、城下のわくわくミュージアムで寸劇を観たり、予備知識的な資料を見て、少し城のことを予習した。



 暑いからエアコンでも効いてたらいいのに、と冗談めかしく思いながら入城すると、エ、エアコンが効いてやがるッ!

 要するにお城の中は資料館になっていて、過去から現在までの熊本城の歴史や被災後の復旧作業風景などが資料や映像で観られるのだ。しかもすごく綺麗で、順路に従い壁の資料をざっと眺めているうちに気付けば天守の展望スペース。熊本市の全景や阿蘇の山々がよく観えた。



 平日なのに観光客で賑わっていて、展望スペースから真下を見たら今にも高校生の団体が押し寄せてくるところだったので素早く退散。しかしびっくりするほど外国人旅行客が多かった。熊本観光ツアーには必ずこの場所が入っているのだろう。この(あと)どこへ向かうのか。

 城下には桜の小路というショッピング・レストラン街があった。熊本ラーメンのワードに惹かれて入店し、熊本ブラックラーメンという多分マー油入りのヤツを注文した。チャーシューとか麺はまあ普通かなと思ったけど、気が付いたらスープも含めて全てが胃の中へと攻め込んできていた。(つわもの)たちが夢のあと。
 こうなると、今度は口の中をさっぱりさせたくなる。



 それで、巣房蜜ソフトクリームなる食べ物をチョイスした。蜂の巣にたっぷりとハチミツが入っていて、口に入れると蜜の味。ソフトクリームにもふんだんにハチミツが加えられており、ラーメンの豚の匂いから一転、口の中はハチミツだらけだ。さらに少量のゆずハチミツなるジュースもいただき、熊本へはハチミツを楽しみに来ました、と言っても過言ではなくなってしまう。

 とか言ってる場合じゃなくて、今日は博物館にも行きたいんだった。
 地図アプリだと徒歩で10分程度となっているのに、明らかにもっと時間がかかった。おそらく坂を上がって行くんだということをアプリは考慮していない。



 若干へばり気味で辿(たど)り着き博物館へ入るとすぐに、プラネタリウムが開演するというアナウンスあり。有料だが200円だし、迷っている時間は無さそうなのでチケットを買い入場した。

 十数年ぶりのプラネタリウムは、心を落ち着かせてくれた。天井に映る星々や、期間限定プログラムの美しい動画をぼうっと眺めて、1時間のトリップ。
 水の惑星、地球。太陽からちょうど良い距離にあるため、水が気体、液体、固体として存在する極めて稀な惑星。でもきっと、宇宙のどこかには同じような惑星があるのだろう、とかいう話で。

 いやはやすっかり寝……楽しんでしまった。あとは博物館を順路に沿って鑑賞する。熊本に棲む生き物として動物や昆虫の剥製がずらっと展示されており、郷土の歴史の資料や展示もたくさん。熊本城は博物館の出張所みたいなものだから、こちらにも熊本城関連の資料があった。

 ふーむふむふむ、熊本はこんな感じね、と。したり顔で博物館を出たら、どうやら僕が熊本の歴史に触れている間に外では大雨が降っていたようだ。道に大きな水たまり。分厚い雲が街を覆っていておそらくもう一度、雨の襲来に遭いそうな雰囲気だ。

 さっさとホテルにチェックインしよう。
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