第2話 熱海をひとりでブラブラ 前編

文字数 1,296文字

 日本周遊のプランを考えているけれど、体調が悪くてまったく(はかど)らない。
 このまま時間というか日々が過ぎていくのはまずいと思い、練習のためにとりあえず1泊2日の観光旅行をすることにした。

 で、ホテルとか旅館を探してみる。泊まるだけだからリーズナブルなところで良い。そうすると、同じような料金でたくさんの選択肢があるから迷ってしまう。

 じゃあ、何も考えず、ホテルも予約せず、さっさと電車に乗ってしまおう。

 というわけで、行ってきました熱海(あたみ)

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 9月初旬の平日、JR熱海駅で下車した。
 地元よりは少しだけ涼しいもののまだ蒸し暑く、スッキリとしない天気も相まってすぐに爽やかな気分にはなれなかった。

 熱海を散策したところは、今書いている小説「ぷろせす!」の、主人公たちが夏休みに日帰り旅行する回に使おうと思っている。

 だから、小説に使わない予定のところを書いておきます。

 そもそも出発の朝はなんだかよく眠れなくて、さらに朝5時ごろに目覚めてしまったものだから、眠気を引きずったまま電車に乗ることになった。平日なので通勤時間を避け、昼頃に熱海に着くよう電車へ乗り込んでいた。
 ウトウトしていたらいつの間にか熱海駅。

 電車の中で今日泊まるトコを予約しようと思っていたのに、ギリギリのタイミングになってしまう。それでも平日なので旅館の予約は簡単に取れた。夕食と朝食のバイキングがセットになったプラン。

 チェックインまでは時間があるから、街を散策するか、どこかの温泉に入るか考える。今夜泊まる旅館の大浴場は温泉で、露天風呂もあるらしい。なら散策をしよう。

 2時間もあるから、來宮(きのみや)神社に行って、戻ってきても時間が余る。ひと駅分だから歩いて行こう。

 街の風景を眺めながらゆっくり歩いていると、お腹が()いて盛大に鳴き始めた。
 神社の近くで古めかしい外観の蕎麦屋(そばや)を発見。営業中の札がかかっている。カラカラと入り口の引き戸を()けると、ちょうど前のお客さんが出るところで、客は僕ひとりだけになった。

 穴子(あなご)天丼を頼み、ぼーっと待つこと10分、想像よりもデカい穴子天が出てきた。濃いめのタレが全体にしっかりとかかっており、穴子はプリプリしていて美味(うま)い。一緒に出てきた小盛りの蕎麦と大きめの漬物(つけもの)も、さすが蕎麦屋ですねって感じで美味い。気が付くとお盆の上の料理は綺麗さっぱり胃の中へ入っていた。



 その量にも味にも満足して、いざ來宮(きのみや)神社へ。本殿と思われる場所でお賽銭(さいせん)を投げ入れ、書かれている通り2礼2拍手1礼してお願い事をする。
 その(あと)、樹齢2千年超えという大楠(おおくす)を拝見した。写真で見るよりもずっと大きくて、くるりと1周するのに30秒くらいかかった、ような気がするくらい大きい。太いじゃなくて、巨大。その生命力から、大楠を1周すると1年寿命が延びると言われているそうだ。

 大楠の圧倒的な生命力を目の当たりにして感動。またひと駅分歩き宿泊する旅館へ。

 少し早いけれどチェックイン出来て、和室に荷物を置きホッとする。



 浴衣(ゆかた)に着替えつつ室内探索をしてみたら、なんと、部屋の浴室も蛇口から温泉が出るようだ。

 中編に続きます。
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