第75話 関空から岡山へ

文字数 2,469文字

 久しぶりに爆睡した。今日は早めにホテルを出て、那覇空港へ歩いて向かっている。



 護國神社の(そば)のコンビニでオキナワアメリカンサンドなるものを買い、近くの川沿いの公園で頑丈な木の手すりに寄っかかりながらそれを食べた。焼けたトーストでレタスとトマト、ハムを挟んだもの。こぶし大ほどながら食べ(ごた)えがあった。これであと1時間歩く分の体力を補充できた。

 道なりに歩いて進む。グレー一色(いっしょく)の艦が停泊している。米軍の……戦艦ではなさそうだ。何かを運搬する艦だろうか。後ろの開口部からは相当大きな乗り物を収容出来そうな感じ。
 信号待ちをしていると軍服の外国人をたくさん乗せたバスが通って行った。ああ、ここは米軍の施設か。

 今日は沖縄に来てから一番晴れている日だ。本当に雲一つ無い、朝の透き通った青い空。暑いなぁと思いつつさらに進むと、自衛隊の那覇駐屯地があった。今度は日本の基地だ。こちらの軍服の方々は草刈りをしていて、なんだかほのぼの。

 ランニング中の人とすれ違うくらいで、他の観光客は歩いていない。(みんな)バスやレンタカー、ゆいレールを使って移動しているのだろう。
 普通に歩いてるだけでも旅気分になるのは、景色の中の樹木がヤシの木なんかの熱帯で育つものばかりであるのと、やっぱり白い建物が多いのと、少し高い所にいるとどこかしらに空の色を(うつ)した海が現れるからだろう。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 那覇空港に着いた。
 今日は関西国際空港まで飛んで、そこから新大阪、そして岡山へと乗り継いで行く。食事をする暇がないかも知れないので、空港のフードコートでちょい(はや)のランチにしよう。
 沖縄そばはもういいや、タコライスも2回食べたし……。おっ、ラフテーとゴーヤ丼というのがある。ゴーヤ丼って面白そう。



 ガラスの向こうに飛行機。ああ、飛ぶんだよなこの(あと)
 ゴーヤ丼はやっぱり面白かった。要するにアツアツご飯の上にゴーヤチャンプルーが乗っているということで、初めての種類の(どんぶり)が楽しい。そしてラフテー、やっぱりウマイ。
 これにて沖縄料理は食べ納め。沖縄旅行はとっても楽しかった。

 航空会社のチェックインをして、持ち込み荷物の検査場を通り抜けると搭乗ゲート前のだだっ(ぴろ)い待合室だ。まだ搭乗まで1時間あることだし、国内線の待合場所を端から端まで見ていこう。
 広大な空港ロビーにも土産物店はたくさんあったが、待合場所にも数店舗あった。沖縄そばを出す店もある。搭乗ゲートが20コくらいあるから、それだけ人の数も多い。国内線でも外国人率高めなのは東京や大阪から国外へ乗り継ぐためかな。



 端から端まで歩くと10分くらいかかる。広いなぁ。
 存分に彷徨(うろつ)いて本来の搭乗ゲートへ。すでに搭乗案内が始まっていた。窓側席だからちょいと早めに乗り込む。

 今回は遅延なく出発する様子。乗客が乗り込んだらさっさと飛行機が動き始めた。スタート位置について、ヨーイドンで急加速。荷物が足にくっついてくる。
 窓の外、景色の流れる速度が上がると、ぐぃんと機体は引き上げられ飛び立った。
 この瞬間のふわぁっ、がやっぱ怖い。

 前回と違い、雲一つない空への旅立ちだ。雲を突き抜ける時の衝撃はなく、すーっと地上から離れていった。



 またなんちゃらパックにて機内軽食が無料で提供されるとのこと。バウムクーヘンとコーヒーを選択。(わり)とお腹いっぱいだけれども、甘いものは別腹と自分に言い聞かせて食べる。沖縄に来てからこっち、甘いものをたくさん食べているから太りそうだ。

 那覇出発から関西国際空港への到着までは2時間かかる。そんなの、この雑記を書いていれば一瞬だ。那覇空港に着いたあたりまで書いていると、着陸体制に入りますとのアナウンスが流れた。
 打って変わって大阪上空は薄曇り。薄く淡い雲を抜けて、機体は滑走路へと近付いていく。

 車輪が接地して、ゴトゴト揺れながら減速する。

 関西国際空港に到着だー。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 飛行機を降り、歩いて空港出口を抜けたところでちょうど到着時刻になった。ピッタリですごい。前回は一体なんだったんだろう。

 勝手が分からないため駅員さんに()いて特急自由席券を購入し、すでに発車待ちしていた特急に乗り新大阪へ。けっこうギリギリのタイミングだった。
 周りはほとんど外国人で、新大阪では降りない様子だったからきっと京都へ行くのだろう。そういえば京都はもの凄いオーバーツーリズム状態らしい。恐ろし恐ろし。

 新幹線に乗ったら岡山へはちょっとそこまでくらいの時間で到着。しっかし、あの飛行機のシートの狭さを体験した(あと)だと、特急や新幹線の座席の広さよ……。それでも無事に行って戻ってくることが出来たんだから感謝しなくちゃなぁ。
 そして新幹線の中で岡山の名物を検索していた。これから向かう先のことは全く下調べしてないから、どこを観るのか、何を食べるのかは前日もしくは当日に決めることになるし、どうやって(まわ)って行くのかもほとんど考えていない。
 まあ、これまでもそんな感じだったんですけどね。

 さっき検索した岡山名物の中に、デミグラスソースがかかったカツ丼なるものがあった。岡山駅に隣接する地下街のレストランにてそいつを見つけて定食で注文。デミグラスソースとカツって、完全に洋食のノリだ。カツとご飯の(あいだ)にキャベツの千切りが割って入っている。こういうのは食べたことないかも。カツの世界も奥深いものである。



 美味(おい)しいカツ定食で満たされて、岡山駅近くのホテルにチェックインした。予約の時点で喫煙(きつえん)ルームしか()いてなかったから、タバコ臭いのを覚悟で部屋に入る。
 ……やった、(くさ)くない!

 廊下はやたらとタバコ(くさ)いが部屋は問題ない。これなら服とバッグに(にお)いがつくこともなさそうで安心。

 駅からホテルまでの短い距離でも、岡山の夜はかなり冷え込むと分かった。本当に沖縄は気候の違う場所なんだと再認識、明日からはちょっと厚めの服でいこう。

 空港で買った小分けのサーターアンダギーをつまみにビールをグビグビ。
 明日は午前岡山、午後広島の予定だすだす。
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