第31話 今治 しまなみ海道を自転車で 完走編
文字数 2,322文字
県境を
橋を
サイクリストではないけれど、間違いなくこのサイクリングロードは素晴らしいと思う。一生に一度は走るべきだ。最近まで知らなくてすいません。
さ、休憩しよう。
道の駅で島レモンソフトなるソフトクリームを買い、久しぶりに椅子に座って食べる。お尻が痛い。ソフトクリームは、完全にさっき買った瀬戸内レモンのジュースと味が
そろそろホテルの予約をしなければと思うが、まだあと35キロくらいあるし、次の道の駅で考えればいいじゃないかと開き直る。要するにちょっと面倒くさかっただけです。
そういえば、このブルーラインに沿って走っていると、所々でトイレを見かける。これは結構重要だ。いつでもトイレに行けると思えば、まさかの事態が起きてもなんとかなるという安心感。トイレが道の駅にしかなかったら、トイレ難民が近くの民家に一か八かで突撃するという悲しい事態が予想される。そんなの住民にしたら迷惑でしかないだろう。
トイレの話はさておき、休憩が終わった。
今いるのは
大三島と「はかたのしお」で有名な
伯方島にも道の駅があった。大きめの浜辺を目の前に軽食をいただくことが出来る。僕はまだ朝のバイキングでたんまり食べた分のカロリーが残っているから、何も食べなかった。ベンチに座り、遂にホテルの予約をする。もうここまで来たら完走は出来るでしょうと踏んでのことだ。金曜日の割には選択肢が多くて迷ったけれど、安いホテルチェーンにした。
さあ、あともうひと踏ん張り、行きますか。
伯方島は小さい島で、さらにその一部をサラッと通過することになるから、道の駅を出てすぐに伯方・大島大橋を越えることになる。って簡単に書いたけどやはり坂は坂で、パンパンになった足が悲鳴を上げる。歩きたい……、いや、歩かないぞ、このクロスバイクで走り切るんや! というまたもや内なる何かと戦いつつ、ペダルを
橋の上で撮った写真は指が映っていて、この時の僕の状態が分かりやすい。もう余裕が無かったんだ。それでも一応は橋から観える海を撮影していたあたり、晴天のマリンブルーが無意識に写真を撮らせるほど素晴らしかったのだろう。
そして最後の島、
ここが完全にラスボスだった。島の中を突っ切って行くわけだが、長い
前から道路の反対側を走って来たふとっちょの金髪外国人が笑顔で言う。
「ガンバッテクダサーイ!」
僕は笑顔を振り絞る。っていうかこの
最後の道の駅はサクッと通過して、
「きついお……」
なんだかアホっぽい声を出しつつ、もう疲れ果ててミシミシと軋み音を立てる太ももとふくらはぎに喝を入れる。前からは子供連れの団体さん。どこまで行くか知らないけど、頑張って……。
永遠かな、とも思える橋をなんとか無心で渡り切ると、そこは四国だった。とは言っても、大三島から
上陸後、今治駅前までは普通の街並み。お邪魔しますという感じで、普通に生活する人たちを見ながら走って行った。
ああ、今治駅。
クロスバイクを降りると、足はフッラフラ。
レンタサイクルのスポットへ自転車を返却というか乗り捨て。ヘルメットも返却。ヘルメットは洗浄するのか、一箇所に集められていた。書類を受付に提出して領収書をいただいた。
これにて、しまなみ海道を自転車で、は終わり。7時30分から漕ぎ出して14時フィニッシュということは、6時間30分かかったのかな。なりふり構わず走っても素人は半日潰れると。
今治駅の軽食店でうどんの定食を食べた。日替わり定食のメインがうどんってところが四国だなぁ。汁は当たり前のように飲み干した。カラカラの身体にはその塩分がありがたい。
ではちょっと今治を散策……、出来るわけないよ、足が言うことを聞かないんだから。さぁ、さっさとホテルへ行くぞー。……駅から遠いぞー。