丸ストーブ / 顔合わせ
文字数 1,326文字
「さあ入って。」
ドアを押さえながら
「はい、有難う御座います。」
と礼を言って
「上履きは持って来た?ここで履き替えてね。外の靴はこの袋に入れて管理してね。」
確かにシューズラックのようなものは見当たらない。
「はい」
と言う
スーツケースから上履きを出して履き替え、履いてきたブーツをビニール袋にしまった。
「じゃこっちよー。」
「はい」
階段を上っていく
――テキパキした人だな。
車の中では山道で緊張していた姿と取り留めのないお喋りをする姿しか見なかったが、職場内では動きと言葉に無駄がない。
などと感心していると、
「ここが
と二階に幾つかあるドアの一つを示して
「はい。有難う御座います。」
「40分後に下でチームメンバーと顔合わせね。」
「はい、分かりました」
6.5畳ほどだろうか。ベッドと小さな机と椅子しか置いていないので広く感じる。
「あ、チームメンバーって従業員のことね。だってその方がカッコいいでしょ?一致団結できそうでしょ?」
と言いながら、多分内心は「超ダサイ」と思っているのだろう。
「そうですね。いいですね。」
と
じゃあ後でね、と言って
――と聞いてはいたけれど、本当だな…
と
*
チームメンバーとの顔合わせは一階の食堂で行われた。建物の中で一番広い空間で、リビングとダイニングとキッチンが壁や間仕切り等の隔てなく収まっている。
食堂には
この人数が多いのか少ないのか程良いのか、仕事内容の全貌が分からないので判断出来ないが、想像していたよりも少ない。
「明日から加わってもらう
と言って
「
と頭を深々下げると、何やらクスクスという笑いが起きた。
――ちょっと場違いな挨拶だったかな…
と
「えー
と
「あ、それから、来週もう一人新しい方が来るから、そしたら二人の歓迎会をしましょうね。では各自戻って下さーい。」