(28) 地球壊滅予測

文字数 1,477文字

音楽講師佐高直道は、松本華奈に腕を掴まれ、音楽室を出て行った。
(学園長吉田健治と副学園長木田武は相撲部不祥事の隠蔽発覚により、辞任を余儀なくされているため)

立花隼人、九条紀子とクラスメイトは、何もすることが無いので、音楽室から一年A組に戻った。
クラスメイト(その中でも女生徒たち)から、次々に感謝の声が寄せられた。

「九條さんと立花君のおかげだよ、ありがとう!」
「ほんと、マジにスケベセクハラで、キモくてウザかった」
「あの口臭・・・変な香水に、いつも吐きそうだった」
「それにベタベタ触って来るしさーーー」
「私なんて、撫でられた」
「でも、密告すれば内申下げるって言うし」
「学園のスポンサー家?それをカサに威張り放題、触り放題!」
・・・・・
(立花隼人と九條紀子は、少しだけ笑みを浮かべただけ、コメントはしなかった)

少しして、松本華奈が、緊張した顔で一年A組に入って来た。
「立花君と條九さん、お客様が見えています」
「今から、学園応接室に」

クラスメイトがざわつく中、立花隼人と九條紀子は一年A組を出て、松本華奈とともに、学園応接室に入った。

中で待っていたのは、一人の外国人男性と、自衛隊の制服を着た日本人男性だった。
外国人男性は、在日米軍の次席ダグラスと名乗り、自衛隊は統合参謀長の横田と名乗り、早速本題に入った。

在日米軍次席ダグラスは、厳しい顔だ。
「小惑星の衝突の一報、実にありがたい」
「NASAでも、その兆候を確かに感知した」
「そこで最初の残骸の地球到着予想も、4週間後も、立花君の計算通りだった」
「大きさが東京都程度で、落ちる場所が太平洋の真ん中との見立てもNASAと一致した」
「そこで、回避策を検討したいのだが、是非、協力を願えないだろうか」
「もちろん、立花君と九條さんの、真の姿を我々も把握したうえでの発言である」

自衛隊統合参謀長横田は、立花隼人と九條紀子に、頭を下げた。
「マグニチュード10程度の衝撃」
「アメリカ大陸西海岸および日本列島は大振動し、人的被害は、2億を越えるとなると、対策を取らないと、いかんのです」
「是非、協力を願いたい」

立花隼人は、冷静に言葉を返した。
「残骸の地球落下は避けられない」
「それに、それも一度ではない」
「第二、第三。第四の惑星衝突の兆候も見えている」
「今さら、対策は無駄だ」

九條紀子も、続いた。
「地球上の全政府が協力しても、無駄です」
「次は南半球、四国程度の大きさ」
「その次アナトリアに、北海道程度の大きさ」
「南極にも落ちます、これは大きくてオーストラリア大陸程度の大きさ」
「その大きさも、しだいに増します」
「当然、地球は粉々に破壊されます」
(立花隼人は頷き、在日米軍ダグラスと自衛隊統合参謀長横田は、ショックのあまり顔を下に向けた)

立花隼人は、さらに厳しい言葉。
「人間同士で欺き合い、殺し合うだけが、人類の歴史」
「自らの勝利のためには、対人間だけではなく、地球にも被害を与えることを厭わない」
「私を開発した立花昇一の言葉だ」
「その立花昇一も、アメリカ政府の意を受けた日本政府によって、暗殺された」
「その上、日本政府とアメリカ政府は、愚かにも、ロボット立花隼人と九條紀子を、その工房から強奪した」
「今さら、助けや協力を願い出る資格が、お前たちにあるのか?」

九條紀子は、冷ややかな笑顔で続けた。
「分析データを、いつでも、全世界に提供できます」
「それに、あなたがたの悪行も添付してね」
松本華奈は、あまりのことに、官邸に内緒で報告を行ったが、無駄だった。
首相と官房長官は国会出席中だった。(裏金疑惑で、野党の猛追及を受けていた)
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