(15)ファミレスにて、公安松本華奈

文字数 1,317文字

立花隼人と一年A組の一行は、武蔵野学園至近のファミレスに入った。
(クラス委員長伊藤恵美が事前に予約してあり、ほぼ貸し切り状態)

立花隼人は、可愛らしいウェイトレスに注文を聞かれ、すぐに注文。
「おすすめの・・・ハンバーグとナポリタンのセット」
「それから定番のブレンド珈琲を」
(ウェイトレスは、立花隼人の美貌に目を奪われ、赤ら顔になってしまった)

クラスメイトが次々に注文をする中、隣に座った伊藤恵美が話しかけた。
「立花君、和食だけではないんだね」
立花隼人は、愛らしい顔で笑った。
「ナポリタンは、日本以外では食べられないパスタ」
「もともと、横浜のホテルでアメリカ兵のために、作り出されたとか」
「ハンバーグも、独特のソースは日本がベスト」

他のクラスメイトからも質問が飛んだ。
「どこに住んでいるの?」
立花隼人は、慎重な答え。
「駅で言えば、永田町、住所までは、ごめんなさい」
予想外の質問もあった。
「彼女さんは、いないの?」
「いなかったら、私、立候補するけど、どうかな」
立花隼人は、はにかんだ笑み。
「その世界は、不慣れですので」
「今後、学習が必要かと」
(不慣れと学習が面白かったのか、クラスメイトが、ドッと沸いた)

それぞれに食事が配られ、和気あいあいと歓迎会が進むなか、立花隼人のスマホが鳴った。
直後、ファミレスにスーツを着た若い女性が入って来て、立花隼人の前に立った。
(年齢は20代前半、クールな雰囲気の超美女)
そのまま自己紹介した。
「警視庁公安部の松本華奈と申します」
「内閣官房より、立花隼人君の警護役を仰せつかりました」

「公安?内閣官房?」と聞いてざわめくクラスメイトに、松本華奈は説明した。
「立花君は、日本政府指定、警護対象の、優秀な学生です」
「万が一もあるので、直接、日夜、警護いたします」

立花隼人が何も表情を変えないなか、クラスメイトは様々にささやく。

「確かに、朝は柔道部監督とトラブル」
「お昼は、相撲部」
「さっきは、野球部」
「全部、やっつけたけど・・・」
「優秀な…優秀過ぎる学生は、警護するのかな」
「でも、隼人君の可愛い顔は独占させたくないよ」
「そうよ、警察のオバサンより、若い私たちのほうがいいよ」
(オバサン発言で、松本華奈は、悔しいのか、ムッとした顔)

黙っていた立花隼人が口を開いた。
「日本に不慣れですので、適宜指導をお願いします」
「ただ、クラスメイトも気にしているようです」
「松本さん、不用意な身体的接触は、ご遠慮願います」
(松本華奈は、顏を赤らめた)(意外と美少年好みのようだ)

ファミレスでの「歓迎会」は、しばらくして終了になった。
(松本華奈は、話好きらしく、あっという間にクラスメイトと打ち解けた)
(学園内にも常駐するとも、説明した)
ファミレスを出ると、黒塗りのレクサスが停まっていた。
(窓は黒のフィルムが張られ、中が見えない)

松本華奈が、立花隼人の手を引いた。
「そのまま、お乗りください」
(「公邸に向かいます」は、小声だった)

立花隼人は、クラスメイトの見送りを受けて、レクサスに乗り込んだ。
ただ、文句を言った。
「押しかけるな」

松本華奈は、首を横に振った。
「危険な動きが多過ぎます、見ていられない」

レクサスは静かに走り出した。
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