(24)国際テロリストの後始末と新たな警護

文字数 1,368文字

東欧系国際テロリスト、自衛隊武器弾薬保管担当、三友重工の三人は、警察当局により、それぞれ連行されて行った。

尚、ロボット立花隼人の一連の活躍は、政府は発表を控えた。
(国際問題化を懸念し、マスコミにも厳重に報道規制を行った)

「それにしても・・・」
「どうして、あのテロリストは、見抜いたのかな」
ホテルから出て、政府公用車(レクサス)に乗り込んだ時点で、松本華奈は立花隼人の顏を見た。

立花隼人は、いつもの冷笑を浮かべた。
「彼はプロだ」
「常に周囲を警戒しながら、交渉していた」
「使う言語も三人ともロシア語で統一」
「日本語を使っていなかった」
「万が一にも日本人には知られたくなかった」
「でも、松本華奈、あなたの動きで、自らのピンチを悟り、反撃に出た」

少し間を置いた。
「日本の公安もフヌケだ」
「あの東欧系テロリストの警戒の視線に対応出来ていなかった」
(松本華奈はシュンと下を向いた)
「監視だけなら、小学生でもできる」
「それも下手な警戒と動きで、一歩間違えば多数の被害者が出た」
「コトが発生してから、処理するのが、日本の公安なんだろう」
「自らの失態を隠し、一般人を被害にさらしても、何の責任も取らない」
「それでは、単なる事後処理係だ、税金の無駄遣いだ」
「国民の安全に対する詐欺行為とも言える」

厳しい言葉に、松本華奈は、顏を上げた。
「そこまで言うの?」
「誰一人、手抜きなんてしていないわよ!」

立花隼人は、呆れ顔になった。
「会話の内容を聞いていなかったのか?」
「小声のロシア語だから、わからない、それが許されるのか?」

松本華奈は、返事に詰まった。
「ごめんなさい・・・確かに話の内容までは」

立花隼人は、冷ややかな顏。
「あの東欧系テロリストが使おうとしたサリン銃は、日本製」
「自衛隊と三友重工の共同開発、そして売込み」
「東欧系テロリストも、威力を確かめたかったのだろう」
(ロボット立花隼人の分析力に完全に負け、松本華奈は、また下を向いた)

政府公用車(レクサス)は首都高を快適に走り、武蔵野学園に到着した。
立花隼人がレクサスを降りた途端、野球帽をかぶった中年の男が歩いて来た。
「立花隼人君かな、私は野球部監督の野村です」
「昨日は、小林が乱暴を働いて申し訳ない」

立花隼人は、表情を変えない。
「ご用件は何でしょうか」

野村監督は真面目な顏。
「実は、野球部に入ってはもらえないか?」
「あれほどの速い球を投げられる、小林よりレベルが高い」
「君が入ってくれれば、より高い勝利を得られる、学園の名誉にもなる」
「甲子園出場も夢ではない」

立花隼人に代わって、松本華奈が答えた。
「政府として、お断りします」
「彼は、特殊な体質なので、政府の特別保護下にあります」
「スポーツ系の活動は特にリスクがありますので、却下いたします」
「それも、この学園との入学契約条項に含まれております」

「そうですか、それなら申し訳ない」
野球部野村監督は、ションボリと引き下がって行った。

黙っていた立花隼人が口を開いた。
「松本さん、辛くないか?」

「え?」松本華奈は意味不明なのでと聞き返した。

立花隼人は、校門の向こうを見ている。
「年中無休、24時間警護は、働き方改革に反する、と政府に進言した」
「だから、もう一人増やすことになった」

松本華奈も、校門を見た。
武蔵野学園の制服を着た超美少女が、笑顔で、歩いて来る。
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