第15話
文字数 498文字
妻が淹れてくれたコーヒー。喉元を熱が通過する。時間がない。情報番組で韓国のアイドルに見入る妻を横目に、玄関を出る。可燃ゴミを片手に階段を降りた。敷地内にゴミステーションがあるのは、とても便利だ。
そのまま少し駆け足で、キブンイーブンへ。もうコーヒーは要らない。昨晩寝床で思いついた買い物は、歯磨き粉。職場用のそれが、あと一週間程で無くなる。レジにあの娘はいないはずだが、ホワイトボードが見たい。ただそれだけだ。
ベトナム人店員の身体の動きに合わせ、隙間をうかがう。間違っていないようだ。あれは勤務表だ。そして彼女の名前はない。ネームプレートを、今晩再確認しなくてはならない。
吊革につかまりながら考えた。夫の前で、妻は堂々と韓流アイドルファンだと宣言している。あんな女みたいなのが好きなら、何故自分と結婚したのだろうか? 娘もシャミーズのなんとかというグループに夢中だ。じゃあ、自分は……。コンビニのバイトが気になっているなんて、いや、とてもではないが言えないだろう。夜の店のマッチ箱がスーツのポケットから出てくる方が、まだマシな気がする。
不公平な気がしてきたぞ! とにかく、帰りも寄るのだ。
そのまま少し駆け足で、キブンイーブンへ。もうコーヒーは要らない。昨晩寝床で思いついた買い物は、歯磨き粉。職場用のそれが、あと一週間程で無くなる。レジにあの娘はいないはずだが、ホワイトボードが見たい。ただそれだけだ。
ベトナム人店員の身体の動きに合わせ、隙間をうかがう。間違っていないようだ。あれは勤務表だ。そして彼女の名前はない。ネームプレートを、今晩再確認しなくてはならない。
吊革につかまりながら考えた。夫の前で、妻は堂々と韓流アイドルファンだと宣言している。あんな女みたいなのが好きなら、何故自分と結婚したのだろうか? 娘もシャミーズのなんとかというグループに夢中だ。じゃあ、自分は……。コンビニのバイトが気になっているなんて、いや、とてもではないが言えないだろう。夜の店のマッチ箱がスーツのポケットから出てくる方が、まだマシな気がする。
不公平な気がしてきたぞ! とにかく、帰りも寄るのだ。