第7話
文字数 498文字
土曜の昼食は、仕事帰りの妻が買ってきたお弁当である。大抵は近所のスーパーかお弁当チェーンのそれだ。忙しい中、バランスを考えて買ってきてくれる。娘も含め、好き嫌いがほとんどない家族だから、メニューもあまり問題にならない。
今日はお釜屋の焼魚弁当だった。小骨をより分けながら、ふと思い出す。あの陳列棚に海苔鮭弁当が並んでいた。立ち読みも落ち着いて出来ない昨今、とても長居できる状態ではないコンビニエンスストア。午前中に酒やツマミを買うのも、仕事帰りでもないのに洋菓子を買うのも、なんとなく憚られる。コーヒーはいつでも飲めるが、なんだか芸がない気がした。だからと言って何も買わずに、つまりレジに並ぶことなく帰宅するのは、寂しいのだ。思い出すほどに、海苔鮭弁当の中央に鎮座した鮭の鮮やかなる紅が愛おしい。手作りを謳うお釜屋の焼魚の方が、体に優しいことは十分承知しているのだが。
冬の弱々しい陽射しでも、午後は比較的暖かい。それでもストーブを消さずにお笑い番組に興じる娘に、言いたくなった。
おい、アイスクリームとか、食べたくならないか?
よし! 数か月ぶりに見た娘の笑顔を背に、玄関の扉を開けた。
今日はお釜屋の焼魚弁当だった。小骨をより分けながら、ふと思い出す。あの陳列棚に海苔鮭弁当が並んでいた。立ち読みも落ち着いて出来ない昨今、とても長居できる状態ではないコンビニエンスストア。午前中に酒やツマミを買うのも、仕事帰りでもないのに洋菓子を買うのも、なんとなく憚られる。コーヒーはいつでも飲めるが、なんだか芸がない気がした。だからと言って何も買わずに、つまりレジに並ぶことなく帰宅するのは、寂しいのだ。思い出すほどに、海苔鮭弁当の中央に鎮座した鮭の鮮やかなる紅が愛おしい。手作りを謳うお釜屋の焼魚の方が、体に優しいことは十分承知しているのだが。
冬の弱々しい陽射しでも、午後は比較的暖かい。それでもストーブを消さずにお笑い番組に興じる娘に、言いたくなった。
おい、アイスクリームとか、食べたくならないか?
よし! 数か月ぶりに見た娘の笑顔を背に、玄関の扉を開けた。