第21話
文字数 500文字
日曜日だ。特に買いたいものもないし、彼女はきっと休みである。のんびりと散歩でもしよう。妻を誘ってみる。意外に乗り気だ。娘は誘わなくていいだろう。近所とはいえ、夫婦二人だけで歩くのは久しぶりな気がする。うん、いつ以来だ?
キブンの方向には行かないようにしようと思いながら、階段を降りる。一階のエレベーターホールに着いた際、見覚えのあるユニフォームの男性が二人、目に留まった。
誰か、越してくるのね。
妻の声。自動ドアの向こうに、熊さんマークのトラック。コザカイ引越センターだ。我が家もここに入居する際に利用した。確か、指定業者だ。
来客用駐車場に、見覚えのない軽自動車が停まっていた。フロントガラスの向こうに鼠のぬいぐるみ。周りには白いモフモフ。ヤンキー上がりの若奥さんか。少しがっかりした。
ちょうど運転席のドアが開き、若い女性が下りて来た。
えっ?
見覚えが、ある、気がする……。
ま、まさか?
ストレートの黒髪は綺麗だが、そのピンクのリボン、ダサい。引っ越し作業があるとはいえ、業者がいるところで中学生のようなジャージというのも、おかしい。化け猫のサンダルも異常だ。
違う。違うと言ってくれ――
キブンの方向には行かないようにしようと思いながら、階段を降りる。一階のエレベーターホールに着いた際、見覚えのあるユニフォームの男性が二人、目に留まった。
誰か、越してくるのね。
妻の声。自動ドアの向こうに、熊さんマークのトラック。コザカイ引越センターだ。我が家もここに入居する際に利用した。確か、指定業者だ。
来客用駐車場に、見覚えのない軽自動車が停まっていた。フロントガラスの向こうに鼠のぬいぐるみ。周りには白いモフモフ。ヤンキー上がりの若奥さんか。少しがっかりした。
ちょうど運転席のドアが開き、若い女性が下りて来た。
えっ?
見覚えが、ある、気がする……。
ま、まさか?
ストレートの黒髪は綺麗だが、そのピンクのリボン、ダサい。引っ越し作業があるとはいえ、業者がいるところで中学生のようなジャージというのも、おかしい。化け猫のサンダルも異常だ。
違う。違うと言ってくれ――