第9話
文字数 497文字
マンションの階段をとぼとぼと登りながら、考えていた。何故最寄りのコーソンではなく、駅方面のキブンイーブンに行ったのか。うまく説明せねばならない。妻は気付かないかもしれないが、娘は絶対に勘付く。娘との会話は確実に減っているが、こういう時に限って話しかけてくるに違いない。いや、そもそも娘を利用してアイスを買いに行ったのだった。軽率な行動を悔やむが、階段途中で立ち止まる訳にもいかない。もう六階に到達してしまった。ゆっくり登れば膝も腿も痛くないと分かったのは収穫だったが。
どうにでもなれ、と思い切ってドアを開ける。幼い頃と同じ笑顔で娘が近付いてきた。
えっ? バリバリ君じゃないの?
あ、でもダーゲンハッツ! 迷うなあ。
どうせ全種類口に入れることは分かっている。とにかく、レジ袋のロゴに気付かれなければ良い。玄関前の廊下で箱を三つ取り出し、娘に渡す。レジ袋をいそいそとコートのポケットにしまう。
お父さん、袋は取っておかないと、エコじゃないよ!
分かってる。君はさっさと暖かいリビングに行きなさい。無言で訴えるが、廊下でパッケージを見比べ続ける娘。
ああ、もう! 何でこんなにビビるんだ?
どうにでもなれ、と思い切ってドアを開ける。幼い頃と同じ笑顔で娘が近付いてきた。
えっ? バリバリ君じゃないの?
あ、でもダーゲンハッツ! 迷うなあ。
どうせ全種類口に入れることは分かっている。とにかく、レジ袋のロゴに気付かれなければ良い。玄関前の廊下で箱を三つ取り出し、娘に渡す。レジ袋をいそいそとコートのポケットにしまう。
お父さん、袋は取っておかないと、エコじゃないよ!
分かってる。君はさっさと暖かいリビングに行きなさい。無言で訴えるが、廊下でパッケージを見比べ続ける娘。
ああ、もう! 何でこんなにビビるんだ?