第3話
文字数 497文字
久しぶりに大型の案件が舞い込んできた。明るい雰囲気での残業。苦労を快く感じる。若い連中の本心は分からないが、こういう経験で仕事を、会社を好きになってほしいと思う。
ようやく一区切りついて、退社する。昔なら皆で、居酒屋に寄っていた。しかし、時代は変わった。まばらな時刻表を眺め、帰りの電車を一人待つ。ホームの自販機で缶コーヒーを買いそうになったが、手を止めた。
電車を降り約五分の交差点。煌々と輝く蛍光灯に誘われる。中学生らしき男どもがたむろしているが、目が合わないようにそっと脇を抜け、自動ドアをくぐった。普段より二時間以上遅いので、期待はしていない。が、レジを確認してしまう。がっかりしているのを悟られないようにコーナーを回り、デザートが並ぶ棚の前で立ち止まった。妻の顔を思い浮かべ、リッチそうなロールケーキを手に取った。
会計を済ませ、店外に出た。中学生はまだそこにいる。オヤジ狩りに遭わぬよう静かに駐車場へ出たその時、左後ろから自転車が走り抜けていった。はっきりとは分からないが、彼女だと思った。加速していく自転車を、その場で見つめていた。
なんと良い締めくくり! 明日も寄るしかない。
ようやく一区切りついて、退社する。昔なら皆で、居酒屋に寄っていた。しかし、時代は変わった。まばらな時刻表を眺め、帰りの電車を一人待つ。ホームの自販機で缶コーヒーを買いそうになったが、手を止めた。
電車を降り約五分の交差点。煌々と輝く蛍光灯に誘われる。中学生らしき男どもがたむろしているが、目が合わないようにそっと脇を抜け、自動ドアをくぐった。普段より二時間以上遅いので、期待はしていない。が、レジを確認してしまう。がっかりしているのを悟られないようにコーナーを回り、デザートが並ぶ棚の前で立ち止まった。妻の顔を思い浮かべ、リッチそうなロールケーキを手に取った。
会計を済ませ、店外に出た。中学生はまだそこにいる。オヤジ狩りに遭わぬよう静かに駐車場へ出たその時、左後ろから自転車が走り抜けていった。はっきりとは分からないが、彼女だと思った。加速していく自転車を、その場で見つめていた。
なんと良い締めくくり! 明日も寄るしかない。