第29話
文字数 499文字
朝部屋を出る時、ほんの一言しか妻とは言葉を交わさなかった。どのような行動が最適なのか、分からない。悩みながら、日が暮れた。決して短いと言えなくなった人生経験ではこのような場合、結局自分が思うように選択するしかない。寄るか、寄らないか。それだけが問題なのだ。
駅からとぼとぼと歩道を進むと、いつもの看板が目に入る。この時間だと、今までは働いていた。でも新婚で引っ越しもした。昨日は店に居なかった。きっと今日も……。いや、娘が以前、コンビニは続ける、という情報を口にしていた。今日から復帰、ということだってあるだろう。でも、昨日の今日だ。実際に店で見かけるのは、気まずい。しかし、寄らなくなるのは、自分の下心を愛菜さんにも認めるという意味だろう。
あっ、今名前を……。思い出し赤面した。その瞬間、入口前にたむろする中学生から「キモッ!」と聞こえる。偶然だろうが、自分に投げかけられているとしか思えない。
スナック菓子の棚は、レジの正面から延びている。気恥ずかしさからここに長居することはなかった。が、彼女がいないらしい今日は、ここからシフト表を観察する。
おい、「ちょう」さん! もうちょっと右に……
駅からとぼとぼと歩道を進むと、いつもの看板が目に入る。この時間だと、今までは働いていた。でも新婚で引っ越しもした。昨日は店に居なかった。きっと今日も……。いや、娘が以前、コンビニは続ける、という情報を口にしていた。今日から復帰、ということだってあるだろう。でも、昨日の今日だ。実際に店で見かけるのは、気まずい。しかし、寄らなくなるのは、自分の下心を愛菜さんにも認めるという意味だろう。
あっ、今名前を……。思い出し赤面した。その瞬間、入口前にたむろする中学生から「キモッ!」と聞こえる。偶然だろうが、自分に投げかけられているとしか思えない。
スナック菓子の棚は、レジの正面から延びている。気恥ずかしさからここに長居することはなかった。が、彼女がいないらしい今日は、ここからシフト表を観察する。
おい、「ちょう」さん! もうちょっと右に……