第28話
文字数 500文字
ガチャ。
玄関のドアが開く音だ。娘よ、おかえり。
少し表情を緩めた妻が声を掛ける。あっ、先を越された。
薮内さんとこ、どんなだった?
娘はニタニタしながらこちらを見た。何っ? マズイ……。死刑判決を受けるような心持ちで、言葉を待った。
おとーさん、アイナさんに覚えられてたよ。よかったじゃん!
妻がこちらを睨んだ。が、怒気が消えている。
お父さんは、キブンの常連さんだもんね。
次の一言で運命が決まる気がした。とにかく何も実態はない。あるのは妄想だけ。しかしその妄想を認める訳にはいかない。また、愛菜さんに関心を持っているかのような発言も慎まなければならない。もう行かない、も絶対におかしい。
へー、そう。俺もさっき気付いたよ。そりゃ、名誉なことだな。
娘が薄ら笑いを浮かべた。ような気がした。妻は立ち上がり、キッチンへ。顔が見えない。とりあえず、収まった――。
自分の娘にしては勉強が出来ないと思っていたが、こんなプレーができるなら、十分立派だ。おとーさんは嬉しい。
四月から高三だし、小遣いアップだと伝えに部屋へ行くと、来ないで! ヘンタイ! と罵声を浴びた。
うぅ、おっしゃる通りです……。
玄関のドアが開く音だ。娘よ、おかえり。
少し表情を緩めた妻が声を掛ける。あっ、先を越された。
薮内さんとこ、どんなだった?
娘はニタニタしながらこちらを見た。何っ? マズイ……。死刑判決を受けるような心持ちで、言葉を待った。
おとーさん、アイナさんに覚えられてたよ。よかったじゃん!
妻がこちらを睨んだ。が、怒気が消えている。
お父さんは、キブンの常連さんだもんね。
次の一言で運命が決まる気がした。とにかく何も実態はない。あるのは妄想だけ。しかしその妄想を認める訳にはいかない。また、愛菜さんに関心を持っているかのような発言も慎まなければならない。もう行かない、も絶対におかしい。
へー、そう。俺もさっき気付いたよ。そりゃ、名誉なことだな。
娘が薄ら笑いを浮かべた。ような気がした。妻は立ち上がり、キッチンへ。顔が見えない。とりあえず、収まった――。
自分の娘にしては勉強が出来ないと思っていたが、こんなプレーができるなら、十分立派だ。おとーさんは嬉しい。
四月から高三だし、小遣いアップだと伝えに部屋へ行くと、来ないで! ヘンタイ! と罵声を浴びた。
うぅ、おっしゃる通りです……。