第26話
文字数 499文字
扉が開いた。鮮やかなピンクのTシャツが目に飛び込む。長い黒髪が前方にも垂れ、胸の隆起を覆う。かえって色っぽさを感じてしまい、顔を上げられない。視線を下げると、すらりと伸びる脚があった。ゆったりパンツでラインは分からない。が、いつか見た黒タイツを思い出し、更に固まった。
年長の自分が人の顔を見て挨拶出来ないなんて娘の手前、許されないことだ。思い切って頸椎を反らせる。キブンで見るよりは薄化粧ではあるが、間違いなく彼女だった。例のピンクリボンはつけていないようで安心した。彼女の視線は、妻と娘に向けられている。ホッとしつつ、実は寂しい。
妻が名を名乗り、形式通りの挨拶をする。よろしくお願いします、と返答がある。無遠慮な娘が、お邪魔していいですかぁ、と呑気に尋ねる。止めておけ、と言いかけたが、室内ももちろん気にはなる。そちらに目を向けたところ、夫と思われる男性がいた。当たり前か。
彼に挨拶をする。百八十近くはあろう高身長で、横幅がない。短髪だが、一部染めているようだ。どちらかと言うと不愛想だ。営業職ではないだろう。張り合うつもりはないが、つい頭をよぎるのだ。
そうか、これが彼女の好みか……。
年長の自分が人の顔を見て挨拶出来ないなんて娘の手前、許されないことだ。思い切って頸椎を反らせる。キブンで見るよりは薄化粧ではあるが、間違いなく彼女だった。例のピンクリボンはつけていないようで安心した。彼女の視線は、妻と娘に向けられている。ホッとしつつ、実は寂しい。
妻が名を名乗り、形式通りの挨拶をする。よろしくお願いします、と返答がある。無遠慮な娘が、お邪魔していいですかぁ、と呑気に尋ねる。止めておけ、と言いかけたが、室内ももちろん気にはなる。そちらに目を向けたところ、夫と思われる男性がいた。当たり前か。
彼に挨拶をする。百八十近くはあろう高身長で、横幅がない。短髪だが、一部染めているようだ。どちらかと言うと不愛想だ。営業職ではないだろう。張り合うつもりはないが、つい頭をよぎるのだ。
そうか、これが彼女の好みか……。