第4話 別の世界に逃避行? (13)

文字数 1,509文字

「あなた本当に……? 先程みたいに、嫌いにならない……」
 と、先程の件もあるから、とても不安そうに俺を見ている。
 でもね、大丈夫、大丈夫だから。先程も述べたけど俺が、フレイヤを守るからね。

「あああ、嫌いにならなし、大丈夫だよ。置いて逃げたりしないよ」
「本当に?」
「あああ、本当に、本当だよ……」

 不安そうに見る、(うち)のカミさんに、俺は優しく微笑みながら答えた。
 すると、(うち)のカミはさんは、主神オーディンの事を始めた。とても簡単に述べてくれたけど。後で俺自身は憎悪が湧き殺してやるとも思ったし。必ず妻を守るとも決めた。

「あの人……。あっ、ごめんね、あなた……。主神オーディンを"あの人"と呼ぶのも変よね……」
「えっ? あああ、そうだね。まあ、いいよ、気にしないから……」

「うっ、うん……。(わたくし)達、ヴァン神族はね。神話の時代に、アース神族にに戦で負けたの。それでね、ヴァン神族の者はみな処分されて殺されたの……」

「うん、その話しは先程、フレイヤから聞いたから知っているよ」

 そう、ここまではね、俺も先程(うち)のカミさんから聞いて知っているんだよ。でもね、これから先の事が何となく、俺なりに予想が出来たから聞かなかったんだよ。もういいからと。

 だっていつの時代もそうだとは思うけど……。敗戦すれば女性は、『敵国に凌辱かな?』と、無学な俺でも、何となくは理解できたから。

 でもさ、これから先は怖くて聞けなかったし。先程フレイヤと夫婦喧嘩をする前にスマートフォンのグルグル先生に尋ねて──簡単な資料の方は目を通していたから。尚更創造の方は出来るからね……。

 でもさ、これからは、そうはいかないみたい……。(うち)のカミさんが

と、俺と同じ呼び方をした、オーディン(あいつ)の事を。

「それでね、前世のあなたが、妻の(わたくし)を助けようと隠してくれていたのだけど……。そこにオーディンが現れてね。(わたくし)を差し出せば、命だけは助けてやるし、神として夫婦二人で、アースガルズで暮らす事も許すと述べたの……」

 悲しそうに話しを進めるフレイヤに「へぇ~」とだけ、俺は静かに答えた。

「うん、でもね、あなたは、それを条件に出されても、(わたくし)を差し出さなかったの、知らん! 知らん! フレイヤは戦の最中に死んだのではないかと? オーディンに述べて、かくまってくれていたの」

「うん、そうなんだ」

「するとね、急にオーディンが、落雷のような、大きな声を出して──辺りに響き渡るような声でこう述べてきたの……。『フレイヤ、居るのは解っているんだぞ? どのみち後で、お前を必ず探し出しだしたやるからな……。でも、今出てきて、儂に服従してきて。その美しい肢体(からだ)を儂に差し出すのなら。お前の夫オーズの命は救うし、儂が用のないときは、普通に夫と暮らし交わる事も許そう──』と。述べてきたの……」

 と、いう話しを聞いた……くそ、歯がゆいよ。弱い俺が、フレイヤの足枷になったみたいだよ。

 そしてこんなにも美しい、俺の妻を強引に凌辱されて取られてしまったのか。

 ううう……悔しい……でも、ここで我慢だ。でないとフレイヤがこれ以上悲しんでしまう。

 だってさ、(うち)のカミさん、美しい紅玉の瞳に涙を一杯貯めて、先程からな泣いているんだよ、声を出さないように。

 だから俺は、「そうなんだ……俺を人質に取られたから、出たんだ。ごめんね……」
 とだけ、謝罪を述べたよ。

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