第2話 夫婦喧嘩になるのかな? (7)

文字数 1,030文字

「たかが人間風情の男が、わらわの美しい顔に誰が触れて良いと述べた──き、貴様……どうにも本当に死にたいらしいな」

〈ゴリゴリ、ボキボキ……〉

 ううう……いて、ててて……体中の骨が悲鳴を上げだしたよ。バカ女神が更に力を両手に入れ始めたようだ。特にどう考えても、俺の方が身長も高いし、体格差も女神フレイヤよりも断然大きいのに。今の俺の体と足は、宙に浮いてる状態なんだよ。
 まあ、それだけなら良いが。先程から俺は、バカ女神に絞め付けられる度に、女性の宝物でもある自分自身の顔を押さえてみたり、掴んでみたりと暴れているんだよ。
 それにもう一つの宝でもある彼女の美しい漆黒の髪も何度も引っ張った。本当に死ぬほど苦しいから。

 だからさ、とうとう、バカ女神は、俺に対してヘイト値が完全に上がってしまい。俺を殺傷対象と認識をしたみたいだから。憤怒しながら怒号を放ってきた──それこそサスペンスのドラマのような、元妻が元夫を殺害して土に埋めるといったストーリーになりそうな予感までしてきたよ。

 だってさ、俺は余りにも、体中の骨という骨が痛いから。
「うぐっ、うごぉ、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ! いっ、痛ぁ、あああああああああああああああああああああああああああっ! わぁりゃ、このクソ女が正体を現しやがった……」
 まあ、こんな感じで、大きな奇声を上げたよ。痛さの余りにね。

 するとさ、女神フレイヤは、魔王のような、冷たい笑みを浮かべながら。
「どうだ、痛いか? フフフ……もっと苦しめ、苦しめ……わらわの大事な顔や髪に触れた罰だ。楽には殺しはせんから、体中の骨をバラバラ砕いて、最後は体中を引き裂いてバラバラにして、わらわの糧として食してやるわ……」
 と、神様、仏様、女神様でもないような。それこそ魔王様みたいな事を述べてきたよ。それも笑みを浮かべながらね。

 だから俺は本当に不味い事になって来たよ。それこそ、俺の心の奥の中に居る誰かの述べた「この女に係わると殺されるぞ」と、いった言葉を早く聞いて、この場を立ち去れば良かったと。後悔をしているよ。

 ついつい、女神フレイヤの外面の良さに魅かれて、戻ったのがそもそも間違えだったと後悔をしている。

 でもさ、今更後悔をしてもしょうがないし、するだけ無駄だから。それよりは、今現実に起きている難題をどう処理するのかを思案した方が良いと。自分自身に言い聞かせた……
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