第２話　夫婦喧嘩になるのかな？　（１０）

「はぁ、ああああああああああああっ！ 誰が誰にでも股を開くですて……」
　まあ、ここまで言い掛けた所で、急に下を向き顔が見えなくなったよ。
　う～ん、少しばかり酷い事を述べたかな、フレイヤに？
　ビッチとか、男なら誰にでも股を開くとか、思いっきり悪態を付いてやったからな、あのバカ女神に……

「な、何も、何も知らない癖に……」

「ん？ なに？」と、俺は直ぐに思ったよ。だってね、フレイヤが 何を述べているのか全然解らないんだよ？

　だってさ、声は震えているし……バカ女神の体自体も震えているから、俺は様子を見てて何事が起きた？ と、思ったぐらいだから。

「貴様ー！ 貴様ー！ 貴様──貴様に……何が分かると言うのだ……生まれ変わり風情の分際で……あの夫(ひと)なら、絶対にこんな酷い事を私(わたくし)に、言わない……」

「えっ？ な、何が？」
　俺は思わず、この言葉が出たよ……フレイヤのあの夫(ひと)と、いうのは、前世の俺の事だよね？

　だから前世の俺が、何を述べないんだろうか？ と、瞬時に考えたよ。
『えっ、ど、どれ、どれ？』と、いった感じかな。それにさ、遠目からだけど、彼女の体が震えているのは、どうも泣いているみたいだね……

となると、俺って女性相手に向きになって、彼女が落胆して泣いてしまう程、酷い暴言を吐いてしまったんだと後悔をしたよ。