第2話 来客
文字数 739文字
須藤の教室のインターホンが鳴った。最近の須藤は年齢のせいか、呼び出し音に気づかない時がある。あの高さの音が聞こえないのだ。この時も子どもたちが「先生、電話鳴ってる」と教えてくれたので、インターホンに出ることができた。急いでインターホンの受話器をとった。
「はい須藤です」
呼んでいたのは小早川だった。校長室に来てほしいとのことだった。
−−何だろう?今すぐ来てほしいとは?
ノックをして校長室に、入っていくと、小早川がいつもの堂々とした余裕のある感じではなく、やや引き攣ったような顔で男と向き合っていた。
男は金色の髪を後ろに縛って、派手な柄のスタジャンを来ていた。
−−この男、どこかで見たことがある。
須藤は記憶をたどって思い出そうと頭をめぐらせた。
「今度、転校してくる木堂さんです。息子さんが四年生で、先生のクラスにお願いしたいのですが」
小早川は極めて事務的にそう告げた。来客の前では校長と教諭であるから当たり前なのだが、その口調は明らかにかたいものだった。
「はいー?」
これで二人目の転入生である。小早川からの依頼に須藤は戸惑った。
金髪のその男が頭を下げた。
−−思い出した!
二年前、久保未亜の給食の事で、未亜の母親と一緒に来た男だ。あの時の捨て台詞を忘れていない。
その男が目の前にいる。
「木堂さんの息子が今度四年生になるんです。名前は」
「さとるです。ばかな小僧ですが」
その言い方には明らかに違和感があった。謙遜ではない、悪意のある嫌悪感を感じる言い方だった。
−−未亜の関係者?だとしたら断りたい。
須藤と未亜のことは小早川は知らない。だが、学年の職員の年齢構成を考えれば、自分の学級しかないだろう。
その男が帰ったあと、小早川がため息混じりに須藤に話し始めた。
「はい須藤です」
呼んでいたのは小早川だった。校長室に来てほしいとのことだった。
−−何だろう?今すぐ来てほしいとは?
ノックをして校長室に、入っていくと、小早川がいつもの堂々とした余裕のある感じではなく、やや引き攣ったような顔で男と向き合っていた。
男は金色の髪を後ろに縛って、派手な柄のスタジャンを来ていた。
−−この男、どこかで見たことがある。
須藤は記憶をたどって思い出そうと頭をめぐらせた。
「今度、転校してくる木堂さんです。息子さんが四年生で、先生のクラスにお願いしたいのですが」
小早川は極めて事務的にそう告げた。来客の前では校長と教諭であるから当たり前なのだが、その口調は明らかにかたいものだった。
「はいー?」
これで二人目の転入生である。小早川からの依頼に須藤は戸惑った。
金髪のその男が頭を下げた。
−−思い出した!
二年前、久保未亜の給食の事で、未亜の母親と一緒に来た男だ。あの時の捨て台詞を忘れていない。
その男が目の前にいる。
「木堂さんの息子が今度四年生になるんです。名前は」
「さとるです。ばかな小僧ですが」
その言い方には明らかに違和感があった。謙遜ではない、悪意のある嫌悪感を感じる言い方だった。
−−未亜の関係者?だとしたら断りたい。
須藤と未亜のことは小早川は知らない。だが、学年の職員の年齢構成を考えれば、自分の学級しかないだろう。
その男が帰ったあと、小早川がため息混じりに須藤に話し始めた。