第7話 中原中也記念館

文字数 1,182文字

成瀬川るるせ
2023年6月16日 02:56




 6月14日。朝9時半頃、新山口駅のホームで桐乃さんと待ち合わせをした。行き先は湯田温泉にある、中原中也記念館である。
 僕は高校時代、詩をひたすら読んで書いていた。中原中也の詩も大好きである。
 まさかそれがこんな年齢になって再び中原中也の記念館へ行って接近することになるとは、思いもしなかった。







 中原中也記念館は、生誕地に建っている。中原中也は医者の息子である。詩人だなんてとんだドラ息子である。ドラと言えば僕は青いネコ型ロボットを思い出すが(青猫じゃ萩原朔太郎みたいだ)、中原中也記念館の正面にある生誕地の碑から入り口に向かう細いコンクリートの道を桐乃さんと歩いていると、黒ぶちの猫が僕らを案内するかのように前方でキャットウォークしていた。
 桐乃さんがテンション高い声を発し、猫に語りかけ、それから僕に向かい、「この記念館の猫ちゃんなのでしょうか!」と疑問を口に出す。僕が桐乃さんの顔を見たら、瞳がキラキラになっている。愛猫家だけある。
 猫まっしぐらな桐乃さんである。











 山口線宮野行きに乗って湯田温泉の町中を歩いていると、猫ニャーたちにずいぶん出くわす。
 飛び跳ねている猫がいて、なにかと思ったら猫同士の喧嘩である。桐乃さんのテンション爆上がりである。ていうか数匹猫を飼ってるでしょ、桐乃さん。飼い猫いくらでも増やしてしまって平然と出来るくらいのレベルで猫大好きなのがわかって、こっちが心配しそうである。が、心配なんてどこ吹く風であろう。猫を観る眼差しが煌めいていて、なんて言ってよいのやら、である。

 さて、それはともかく中原中也記念館である。
 中原中也記念館については、あとでこのnoteの「旅行スケッチ山口県」を書いたあと、帰宅してNOVELDAYS版を出すときにちゃんと中原中也という存在と向き合って語りたいと思っている。今お読みいただいているのは素描であり、旅先で書いていることもあり、駆け足だけど更新が速いのをウリにして、No.7のこの回まで書いてきた。桐乃さんというひとについて書くにも、考える時間がないほど、この旅は濃縮された出来事で形成されている。
 そして、これを書いている現在は6月16日の午前3時頃で、まだまだ帰路が待っている状態だ。
 眠ってさっき起きたばかりだが、ちょっと横になって体力を回復させないとならないので、この項は話の途中だが閉じよう。





 書きたいことがぐわーって押し寄せるんだけど、今日は帰宅するのは日付が変わる近くであり、下手すると24時間ほど起きていることになるかもしれず、回復させることをしたい。だがどうしても山口県にいる間に、中原中也記念館に桐乃さんと行ったというアウトラインを引いておきたかったのだ。
 では、待て次回。そして、NOVELDAYS版の追記記事も。それでは、また。

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登場人物紹介

桐乃桐子:孤高の作家

成瀬川るるせ:旅人

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