第3話
文字数 436文字
最初にジェードと目が合ったのは、教室の、扉寄りの列、通路側の前から二番目に座っている少年だった。茶色い髪はどう見ても天然パーマで、一時期、金持ちたちが軒並み飼っていたティーカッププードルを思わせた。そばかすだらけの顔の真ん中で、おどおどした黒い瞳をキョロキョロ忙しなく動かし、その中でもジェードを多く見ている。
助けを求めるような目だった。
あの頃の弟や妹みたいな――
「担任教師のジェードだ。これから、このクラスのルールを発表する」
教室はしんと静まり返ったたまま、呼吸の音すら聞こえない。
「校長だかなんだかの、ウヴァロヴァイトという人は俺の上司だ。彼は、お前たちを商売に使うつもりで、俺に適当に選んで、この袋に入れて」
ここで、ルチルから預かった皮の袋を掲げて見せる。
「連れて来い、と言った。誰でもいいということは、お前でも、お前でも、今一番近くの席にいるやつからでも、捕まえてさえやればいいのさ」
ここで、すすり泣く声が聞こえ、ジェードはうんざりする。
助けを求めるような目だった。
あの頃の弟や妹みたいな――
「担任教師のジェードだ。これから、このクラスのルールを発表する」
教室はしんと静まり返ったたまま、呼吸の音すら聞こえない。
「校長だかなんだかの、ウヴァロヴァイトという人は俺の上司だ。彼は、お前たちを商売に使うつもりで、俺に適当に選んで、この袋に入れて」
ここで、ルチルから預かった皮の袋を掲げて見せる。
「連れて来い、と言った。誰でもいいということは、お前でも、お前でも、今一番近くの席にいるやつからでも、捕まえてさえやればいいのさ」
ここで、すすり泣く声が聞こえ、ジェードはうんざりする。