第3話

文字数 436文字

最初にジェードと目が合ったのは、教室の、扉寄りの列、通路側の前から二番目に座っている少年だった。茶色い髪はどう見ても天然パーマで、一時期、金持ちたちが軒並み飼っていたティーカッププードルを思わせた。そばかすだらけの顔の真ん中で、おどおどした黒い瞳をキョロキョロ忙しなく動かし、その中でもジェードを多く見ている。
助けを求めるような目だった。
あの頃の弟や妹みたいな――

「担任教師のジェードだ。これから、このクラスのルールを発表する」

教室はしんと静まり返ったたまま、呼吸の音すら聞こえない。

「校長だかなんだかの、ウヴァロヴァイトという人は俺の上司だ。彼は、お前たちを商売に使うつもりで、俺に適当に選んで、この袋に入れて」

ここで、ルチルから預かった皮の袋を掲げて見せる。
「連れて来い、と言った。誰でもいいということは、お前でも、お前でも、今一番近くの席にいるやつからでも、捕まえてさえやればいいのさ」

ここで、すすり泣く声が聞こえ、ジェードはうんざりする。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

ウヴァロヴァイト。

ジェードの上司。

金を貸した相手にどんどん子供を作らせ、

その臓器を売って金を稼いでいるとのうわさ。

ルチル。

ウヴァロヴァイトの一番の部下。

クンツァイト。

界隈で有名な悪党組織のボス。

ウヴァロヴァイトより組織の人数は多い。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み