第4話
文字数 384文字
「見て、あの先生……」
子供たちの声が己を指していることにジェードが気づいたのは、その上品な制服を着た少女らが、自分の顔を指さしていたからだ。
ジェードは髪で隠しているその下に、大きな傷がある。勿論、それは手を汚した時より、ずっと前についた傷だ。傷そのものはもう痛くもかゆくも無いが、思い出したくすら無いので、傷を得た日から鏡は見ていない。子供たちには、その傷が見えているので、恐ろしがっているようだ。
呑気に生きている子供に、ますます腹が立つ瞬間だった。お前達が恐れるべきは、顔の傷なんかじゃ無く、もう直ぐ其処に迫っている命の危険だろうに。平穏に生きている人間には、全く危機感と言う物が無いのだ。
「では、新しい校長先生から御挨拶をいただきます。校長、前へ」
前へ、の合図で、梯子のような貧相な階段を上がって来る者がいるのかと思いきや、緞帳が上がった。
子供たちの声が己を指していることにジェードが気づいたのは、その上品な制服を着た少女らが、自分の顔を指さしていたからだ。
ジェードは髪で隠しているその下に、大きな傷がある。勿論、それは手を汚した時より、ずっと前についた傷だ。傷そのものはもう痛くもかゆくも無いが、思い出したくすら無いので、傷を得た日から鏡は見ていない。子供たちには、その傷が見えているので、恐ろしがっているようだ。
呑気に生きている子供に、ますます腹が立つ瞬間だった。お前達が恐れるべきは、顔の傷なんかじゃ無く、もう直ぐ其処に迫っている命の危険だろうに。平穏に生きている人間には、全く危機感と言う物が無いのだ。
「では、新しい校長先生から御挨拶をいただきます。校長、前へ」
前へ、の合図で、梯子のような貧相な階段を上がって来る者がいるのかと思いきや、緞帳が上がった。