第2話

文字数 555文字

 ジェードが管理していたマンションが、クンツァイトの罠でなくなり、一年が経った。
 ジェードはあの時、真珠に気圧されて、消火剤のスイッチまで駆けて行き、無事に皆の命を助けたのである。しかし、マンション自体は使い物にならなくなったし、ウヴァロヴァイトたちの日頃の行いが悪すぎて警察は勿論入れられなかったし、クンツァイトは上手く何処かへ逃げおおせて見つからなかった。逃げ切った住人たちとも再会はしていない。皆、蜘蛛の子散らしたみたいに散り散りになって、それっきりだ。
 ジェードは、一応、ウヴァロヴァイトを助けた人物として処刑を免れ、またこつこつウヴァロヴァイトに尽くす日々に戻り、十か月後にはチームの中でマンションの管理人以外の別の、再び中間管理職的な役職に就いた。
 悪いことをするなら上に取り入る才能が、通常のサラリーマンより倍は必要だと、ジェードは思う。
 こうしてジェードは、また、食うには困らなくなった。
 それで、ウヴァロヴァイトはと言えば、主に金貸しをして、その借金の代償、または敵のチームを壊滅させた後などに、女を敢えて生かして連れ帰り、どんどん子供を産ませるという商売に戻っている。結構高値で取引されるらしく、相変わらずウヴァロヴァイトについて行けば、楽で金が入るのだ。彼の部下はやめられない。
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登場人物紹介

ウヴァロヴァイト。

ジェードの上司。

金を貸した相手にどんどん子供を作らせ、

その臓器を売って金を稼いでいるとのうわさ。

ルチル。

ウヴァロヴァイトの一番の部下。

クンツァイト。

界隈で有名な悪党組織のボス。

ウヴァロヴァイトより組織の人数は多い。

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