第5話

文字数 601文字

「需要と供給」について詳しく問おうとすると、ウヴァロヴァイトは面倒になったのか、資料を投げて寄越し、プリンを食べることに集中し始めた。
 資料に依ると、需要があるのは、生まれて数年までの赤ん坊の内臓だけではないらしい。もうちょっと、中学生くらいまでの内臓や、大人の内臓を欲しがる人だっている。
 しかし、今ウヴァロヴァイトが用意できるのは、みんな生後一年程度までの乳幼児なのだ。それを、中学生程度まで育てるとなると、

「エサ代が嵩むんだよな、人間って」

とは、ウヴァロヴァイトの常日頃の口癖だ。
 
 なら、そのくらいの年頃の子を学校から連れて来てしまった方が早くて安い。長年売りさばけそうも無いようなら、中学生くらいになれば子供も充分産ませられるし、其方の役割につかせればいい。学校を経営することで子供たちの隙を見計らい、一気に在庫を手に入れようという腹のようだ。
 寮でも狙えばチャンスはいくらでもある。虐待の疑いがあれば家庭訪問に行って何食わぬ顔で親ごと捕獲も出来る。
 それにしても、教師をやらされるとは。

「子供を連れて来るのは簡単ですが、教師では無いとバレ無いようにする方が、難しそうです」

 基本的にこう言った資料は、読んだら燃やすのが前提なので、ジェードは手近にあったライターで資料の角に火を点け、灰皿に放った。

「それで、その、俺の派遣される学校の名前はなんて言うんです?」
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登場人物紹介

ウヴァロヴァイト。

ジェードの上司。

金を貸した相手にどんどん子供を作らせ、

その臓器を売って金を稼いでいるとのうわさ。

ルチル。

ウヴァロヴァイトの一番の部下。

クンツァイト。

界隈で有名な悪党組織のボス。

ウヴァロヴァイトより組織の人数は多い。

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