第1話
文字数 395文字
ジェードは生まれて初めて知ったのだが、新任教師というのは、四月に体育館で、生徒を集めたその前に立ち、自己紹介をするのだそうだ。
いきなり面倒臭いことになったな、と溜息が漏れてしまう。
今回のウヴァロヴァイトの指示の内容を思うと、矢張り、ジェードが偽の教師である事実は、バレない方がよさそうなのだが――そんな大勢の前で、上手く演じられる自信が無かった。
同僚たちは何も疑っていないのだろうか、平然と職員室に通され、担当となるクラスの名簿やその他の資料を受け取って、席についてしまったが。
「俺の担当は、小学部の六年一組か……」
小学校の六年生って何歳だっけ、なんて、いまだに考えてしまう。それくらいジェードは教育に対して無知だ。
せめて、六花美織は別のクラスだと良いな、クンツァイトが担当するクラス、三組だったか、その中にいれば良い、と願わざるを得ない。仕事は楽な方が良い。