第7話
文字数 447文字
「お前らに生きる価値があるから生き残れるのではない。存在価値がないから死ぬのではない。私は差別はしない。勉強が出来る子も、出来ない子も、恵まれた家庭の子も、被虐待児も、音痴も、運動音痴も、天才も、皆、平等に、目についたもの全てを獲物とする。教師に差別はまずいからな。ああ、でも、出来れば内臓は元気な方が良いから、差別では無く区別はするが……」
ウヴァロヴァイトは、チュロスの側面を真っ赤な舌で舐め回し、ざらざらの表面で削り取るように弄んだ後、ふっと頬を緩めた。
「騒いでいる場合か? ライオンに狙われたシマウマがするべきなのは、仲間の顔色窺いではない」
ウヴァロヴァイトが右手をさっと挙げる。
「一目散に逃げることだ」
指が鳴る。
これは、合図だ。
ルチルがぱっと、黒いパンプスを地面から離す。それは、羽が風に浮くように軽い、一瞬の動作だった。美しくて息を呑む。
そのまま、子供たちが整然と並ぶ列に駆け寄ると、最も近くにいた男児の制服の襟首をつかんだ。さっと、影のような動きだった。
ウヴァロヴァイトは、チュロスの側面を真っ赤な舌で舐め回し、ざらざらの表面で削り取るように弄んだ後、ふっと頬を緩めた。
「騒いでいる場合か? ライオンに狙われたシマウマがするべきなのは、仲間の顔色窺いではない」
ウヴァロヴァイトが右手をさっと挙げる。
「一目散に逃げることだ」
指が鳴る。
これは、合図だ。
ルチルがぱっと、黒いパンプスを地面から離す。それは、羽が風に浮くように軽い、一瞬の動作だった。美しくて息を呑む。
そのまま、子供たちが整然と並ぶ列に駆け寄ると、最も近くにいた男児の制服の襟首をつかんだ。さっと、影のような動きだった。