第6話

文字数 648文字

ウヴァロヴァイトは、ちら、と眼鏡の奥の目を上目にしてジェードを見ると、一拍おいて口を開いた。

「私立六花学園だ」

「六花学園って……あの六花学園?」

「あの六花学園だ。あの、忌まわしい」

六花学園と言う名前は、六年前にこの世に生まれていた人なら殆ど、ジェードのような仕事の者なら特に、良く知っている呼称だった。
そして、できればあまり聞きたくはない名称――

それは六年前に、六花学園小学部六年六組で起きた事件。
六年六組の生徒が、ある朝突然、たった一人を除いて全員惨殺された。
その一人と言うのが、犯人である少女、六花美織。
事件の朝、朝礼のために教室へ行った担任教師が、教室のど真ん中で突っ立って、けらけらと御機嫌そうに笑っている美織を発見した。
美織は、そのモスグリーンの制服に血をべっとりと着け、顔も血だらけだったが、それらは全て他人からの返り血であった。教室にはいくつもの首が転がり、捥がれた腕が花瓶に刺さっていた。凶器の鉈は美織が持っていた。
富豪であり、美織の祖父である当時の六花学園の学園長により、その年の国家予算を学園長が全て払い、遺族にはそれぞれ一軒につき一億円を支払うということで、事件はもみ消されたのだそうだ。
しかし、どうしても許せなかった遺族でもいたのか、インターネット上で噂は飛びかった。無論、当時の六花学園の学園長は、ジェードのような職の者には名の知れた人であった――要は後ろ暗い暮らしを彼もして、稼いでいたのだ――から、この事件の真相は周知の事実である。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

ウヴァロヴァイト。

ジェードの上司。

金を貸した相手にどんどん子供を作らせ、

その臓器を売って金を稼いでいるとのうわさ。

ルチル。

ウヴァロヴァイトの一番の部下。

クンツァイト。

界隈で有名な悪党組織のボス。

ウヴァロヴァイトより組織の人数は多い。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み