第22話

文字数 591文字

それからわたし、決めたんだ。
絶対この人と別れるって。
わたしその頃は派遣で携帯ショップの店員してた。
他にも事務所に所属して、ローカルFM局のパーソナリティのお仕事もらった。
オンエアまでに調べ物したり、TSUTAYAでCD探したり。
忙しさで気が紛れたし、わたしが決めた未来へ進んでる気がしたんだ。
それでもやっぱり辛かった。
そんなわたしをお母さん心配してくれて、やっと離婚したい事切り出せた。
ホントはもう夫婦関係繕ってるの耐えられなかったから、とりあえずアパート借りてもらって、別居したんだ。
それでもあの頃のわたしは辛くて、世界が滅んでしまえば良いのに、と、ふと思ったり。
旦那はなかなか離婚を承諾してくれなくて、だけどわたしはあの人の苗字で居るのが嫌で、夏目亜季から緒川亜季に戻してお仕事してた。
そんなモヤモヤした気持ちをわたし、ネットの世界で紛らわしてたんだ。
わたしが勤めてた携帯ショップの通信会社のオフィシャルサイト。
まだmixiが始まるか始まらないかの頃、実験的にSNSみたいな事やってた。
今はもうないけど。
当時はもう出会系サイトみたいなのはあったんだけど、怖いし。
わたしはそのサイトで「こにゃん」と名乗って「猫になりたい」って呟いた。
気ままな猫ちゃん。
はるちゃんも大好きな、猫ちゃん。
ホントのホントの気持ち。
それは現実のどこにも吐き出せなかったから。
そうしてついに、見つけたんだ。
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