第36話

文字数 573文字

光陰矢の如し。
いっつも夏休みに思い浮かんだ言葉。
特にあの夏。
矢、どころか、鉄砲の弾みたいに過ぎちゃって、なくなっちゃったかと思ってた、あの夢みたいな夏。
やり直せるんだ!
現実の世界で。
あれも確かに現実だったんだろう。
けど、半分夢。
わたしにとっては忘れられない、でも忘れなきゃ、忘れようとしていた夢。
はるちゃんはどういうわけか忘れちゃったみたいけど、きっとわたしより辛い思いしたんだと思う。
心のきれいなひとだから、いっぱいいっぱい傷ついたんだ、きっと。
わたしだって、辛い事あった。
わたし不幸かも、って思った。
でもそんなの終わりだ。
やっとハッピー。
で、ずっと、ハッピーなんだ。
うれしいな、ルンルンしちゃう。
おっと、その為に色々片付けなきゃ。
お手紙で毎日、今日はあれした、これしたって報告。
はるちゃんも毎日、はやく逢いたい。ずっと一緒に居たい。あいしてる。
くうー。
ついニヤけて、同僚やらお母さんに「楽しそうだね」って笑われるやら、呆れられるやら。
みんなあきにあきレなさい。
なんてね。
毎日が速いよ。
心はもう、はるちゃんと一緒に居るんだ。
ね?はるちゃん。
あの夏を取り戻して、ずっとその中で生きるんだ。
ふたり、ありのまま。
わたしたち、最初からわたしたちだけ。
余計な人生は、これからのふたりの幸せを盛り上げる余興に過ぎなかった。
はるちゃんも同じ気持ちだと良いな。
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