第26話

文字数 453文字

僕は無理して東京まで迎えに行った。
借りを作りたくなかった。 
彼女、3つも年下だから。
あ、もうお互い本名で呼び合ってた。
彼女は「はるちやん」僕は「あき」。
待ち合わせた国道沿いのコンビニ。
あきだ!
あれ、画像とだいぶ違うぞ。
色白でほくろだらけ。
僕を見つけるなり、笑ってる。
お互い、見た目は少しがっかりしたかな?
でも僕は、何故だか色白でほくろだらけな女が好きだった。
駐車場がないから慌てて乗り込むあき。
車をそのまま南へ。
走りながら、「横浜なら詳しいから」と。
みなとみらい。
あきは僕のやる事なす事、笑った。
バカ笑いした。
太宰のなんかで読んだ事がある。
彼女が顔見るなりバカ笑いしたら、君に心を許してる証拠だ、みたいな事。
そんな事より、あんまりあきが笑うもんだから、僕はもっと笑わせ、僕も笑う。
あ、笑って良いんだ。
助かった。
でも、なんでこんなに無防備なんだろ。
まるで、旧い友達か、家族みたいに。
暗くなって、観覧車の頂上からの夜景。
そんなの、ふたりとも見てなかった。
見つめて、照れて、目を逸らし、また見つめて、キスをした。
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